企業年金制度を持つことの意味-2- 企業年金制度/退職金制度間の比較

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企業年金制度を持つことの意味-2- 企業年金制度/退職金制度間の比較

公開日:2015年8月20日

前回のコラムでは、企業にとっての企業年金制度(DB、DC)を持つことの意味について改めて整理してみました。

今回のコラムでは、各企業年金制度や退職金制度間での比較を表形式でまとめてみましたので、退職金制度改正に係わる企業のご担当者の方など、実務の場でご活用いただければ幸いです。

 

1. 各退職給付制度のメリット/デメリット

6つの退職給付制度について、A.従業員の立場から、B.会社の立場からそれぞれについて、メリット/デメリットをまとめました。

(それぞれの立場で、メリットは○、デメリットは×で表記しています。)

メリット/デメリット(A.従業員の立場から)

  退職一時金制度 DB制度
(確定給付企業年金制度)
CBプラン
(キャッシュバランスプラン)
DC制度
(企業型確定拠出年金制度)
前払い退職金 中退共
(中小企業退職金共済制度)
運用リスク
給付額は指標に従って変動
×
給付原資の保全 ×
個人別の口座にて管理
自己都合退職による減額 × × ×
自己都合による減額は原則不可

自己都合による減額は不可
退職時点での受給が可能か ×
原則60歳以降の支給

在職中のみの支給
年金による給付が可能か ×
年金の商品の購入により可
×
分割払いのための要件があり
給付時の税制のメリット
退職所得

退職所得(年金の場合は雑所得)

退職所得(年金の場合は雑所得)

退職所得(年金の場合は雑所得)
運用非課税(凍結中)
×
給与所得

退職所得(年金の場合は雑所得)

 

メリット/デメリット(B.会社の立場から)

  退職一時金制度 DB制度
(確定給付企業年金制度)
CBプラン
(キャッシュバランスプラン)
DC制度
(企業型確定拠出年金制度)
前払い退職金 中退共
(中小企業退職金共済制度)
運用リスク
退職給付信託として退職金原資の運用も可能
× ×
設計によっては一定の運用リスク削減効果あり
退職給付債務の計上によるリスク × ×
設計によっては一定の変動抑制効果あり
キャッシュ負担の平準化 ×
財政再計算時等で定期的に掛金は変動

財政再計算時等で定期的に掛金は変動
退職事由による給付の差 ×
原則減額不可(3年未満退職除く)
×
懲戒解雇の場合は減額可
委託手数料
(右記は一例です)
× ×
管理の煩雑さ
(右記は一例です)
×
税制メリット
給付時に損金算入

掛金全額損金
運用非課税(凍結中)

掛金全額損金
運用非課税(凍結中)

掛金全額損金
×
社会保険料負担も加わる

掛金全額損金

 

2. DB制度とDC制度の比較

DB制度(確定給付企業年金制度)とDC制度(企業型確定拠出年金制度)について、A.従業員の立場から、B.会社の立場からそれぞれについて、表にまとめてみました。

DB制度とDC制度の比較(A.従業員の立場から)

  DB制度
(確定給付企業年金制度)
DC制度
(企業型確定拠出年金制度)
将来の給付額 ・ あらかじめ規定に定められる算式に基づき確定 ・ 運用実績により変動する
ポータビリティー ・ DB制度間では規約に定められた場合には可能
・ DB制度からDC制度へは脱退一時金相当額の移換が可能
・ DC制度間では可能
・ DC制度から他制度への持ち込みは不可
給付原資の保全 ・ 会社が倒産しても、その時点での年金資産は保全される ・ 会社が倒産しても、その時点での年金資産は保全される
・ 給付減額および懲戒による没収も適用されない
残高把握 ・ 個々の従業員ごとの残高把握が難しい ・ 個々の従業員ごとの残高把握が可能
資産の運用 ・ 事業主または基金が運用受託機関に委託し運用
・ 運用損失は事業主が補填
・ 運用収益は非課税(凍結中)
・ 個々の従業員がそれぞれ運用を指図
・ 運用結果は従業員に帰属する
・ 運用収益は非課税(凍結中)
給付時期 ・ 退職時または一定年齢(60歳等)以降 ・ 原則として60歳以降(少額の場合を除き中途引出し不可)
給付の形態 ・ 年金もしくは一時金 ・ 同左
退職後所得確保機能 ・ 年金受給開始後も、積立金は非課税で運用を継続できる ・ 同左
税務上の扱い ・ 年金は雑所得(公的年金等控除)、一時金は退職所得 ・ 年金は雑所得(公的年金等控除)、一時金は退職所得
・ 運用非課税(凍結中)

 

DB制度とDC制度の比較(B.会社の立場から)

  DB制度
(確定給付企業年金制度)
DC制度
(企業型確定拠出年金制度)
資金負担の時期 ・ 事業主が定期的に掛金を拠出、運用損が出た場合は特別掛金により補填 ・ 事業主が毎月拠出(拠出限度額:月5.5万円)するため資金負担が平準化される
給付格差・制限 ・ 退職事由(自己都合・会社都合)による給付格差が可能
・ 懲戒解雇時に給付制限することが可能
・ 退職事由(自己都合・会社都合)による給付格差は不可(3年未満退職除く)
・ 懲戒解雇時に給付制限を付けることは不可
企業会計上の取扱い ・ 退職給付債務の認識が必要
・ 退職給付会計に基づく退職給付費用の計上
・ 退職給付債務の認識は不要
・ 掛金拠出額を費用計上
従業員に対する投資教育 ・ 不要 ・ 従業員が自己責任で運用指図を行うために必要な情報等を提供する必要がある
自己責任意識の醸成 ・ あらかじめ定められた給付算定式に基づき会社から支給されるので、自己責任意識が特に高まるわけではない ・ 運用結果は全て個人に帰属するので、自己責任意識が高まり、自分自身のライフプランへの関心が高まる
税務上の扱い ・ 掛金は全額損金算入
・ 運用非課税(凍結中)
・ 掛金は全額損金算入

 

 

※当コラムには、執筆した弊社コンサルタントの個人的見解も含まれております。あらかじめご了承ください。

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