過去勤務費用とは

個別財務諸表において負債計上される「退職給付引当金」は「退職給付債務-年金資産-未認識項目」になります。この未認識項目の内、「過去勤務費用」について、その内容や認識(償却)のルールについて説明します。

過去勤務費用とは、「退職給付水準の改訂等に起因して発生した退職給付債務の増加または減少部分」のことをいいます。

また、「過去勤務費用のうち当期純利益を構成する項目として費用処理されていないもの」を未認識過去勤務費用といいます。

  • 給付水準の変更(ベース・アップによる退職給付債務の増加を除く)
  • 給与比例制からポイント制への移行など給付体系の変更
  • 新たな確定給付型制度の導入 など

このようなケースでは、給付の水準または仕組みが変わるため、退職給付債務が変動します。この際に生じる退職給付債務の増減額(過去勤務費用)は、発生時点で即時認識すべきとも考えられますが、次項の理由により遅延認識することが認められています(*)。

(*)連結財務諸表のB/S上は即時認識となります。過去勤務費用が発生した年度において退職給付に係る負債およびその他の包括利益に計上します。その後、徐々にP/L純利益に振り替える(リサイクルする)ことにより、P/Lでは遅延認識することが認められています。

過去勤務費用のイメージ

会計用語でいう「費用収益対応の原則」が遅延認識を容認する論拠です。 例えば、給付水準の引き上げを行なった場合、従業員の勤労意欲が将来に亘って向上し、将来獲得される収益が増加する可能性があります。
増加が予想される収益が計上される将来期間において費用も計上する(費用収益対応の原則)ため、制度改訂日時点で既に発生している費用の遅延認識が認められているのです。

以下1~3のいずれかを継続的に適用する必要があります。

  1. 平均残存勤務期間
  2. 平均残存勤務期間内の一定の年数
  3. 発生年度一括償却

過去勤務費用は、制度改訂日から月割償却を行います。なお、制度改訂日とは「労使合意の結果、規程や規約の変更が決定され周知された日」とされていることに注意が必要です。

定額法と定率法いずれも認められていますが、定率法は推奨されていません。

定額法の算定例

  • 過去勤務費用発生額:60(制度改訂日は当期首であったとする)
  • 償却年数:6年

→当期の過去勤務費用償却額10=60÷6年

過去勤務費用に関するよくある質問

Q

過去勤務費用とは?

A

退職給付水準の改訂等に起因して発生した退職給付債務の増加又は減少部分のことです。年金資産の分配や確定拠出年金制度への資産移換といった支払を伴う退職給付債務の減少は過去勤務費用には含まれません。

Q

発生した過去勤務費用はどのように費用処理するのか?

A

日本基準においては、原則として各期の発生額について、平均残存勤務期間以内の一定の年数で按分した額を毎期費用処理します。費用処理されていない部分は、未認識過去勤務費用として管理します。

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