投資理論の限界~本物の株価を表しているのはどれか?

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投資理論の限界~本物の株価を表しているのはどれか?

公開日:2016年4月18日

今年に入って株価が大きく下がっています。1年前とほぼ同じ水準になりました(2016年1月15日現在)。

株価グラフ

以下に日経平均株価の値動きを示すグラフが3つあります。1つは実際の動きを示したもの、あとの2つは一般に用いられている伝統的な投資理論に従ってシミュレーションしたものです。

シミュレーション画像

"本物"がどれかわかるでしょうか?

過去の株価の動きを知っている人ならわかるかもしれませんが、グラフの見た目だけで区別するのはちょっと難しいですね。

では次のグラフではどうでしょう。使っているデータは上と全く同じですが、数字の取り方、グラフの作り方を変えています。

株価グラフ

これだと1つがほかの2つと明らかに違うのがわかりますね。

本物は一番左、中と右の2つはニセモノです

このグラフ、どう作ったかというと、横軸を前日の株価の変動率、縦軸を当日の株価の変動率として、すべてのデータをプロットしたものです。

例えば、おとといの株価が100円、昨日が101円、今日が100円だとすると、

・ 前日の株価の変動率は+1%

・ 当日の株価の変動率は-1%

となり、横軸が+1%、縦軸が-1%のところに点がプロットされることになります。

ニセモノのほうは縦・横とも±5%の範囲からはみ出ているものはほとんどありませんが、本物は±10%の範囲の外まで散らばっています(注:但し変動率は対数でとっています)。-10%というと、株価が2万円なら1日で2000円下がる大暴落です。

伝統的な投資理論では株価の変動率は正規分布に従う前提を置いているため、中心値から大きく外れた値をとる可能性はほとんどありませんが、実際には大きく動くことがあるということです。

自然界には、地震の規模と発生頻度の関係など、頻度は低いが時に極端な値をとる「ロングテール」をもつベキ分布が多くみられますが、株価の変動も実際にはベキ分布に従っていると見るべきでしょう。

もう一つ、本物の特徴として次のような点が見て取れます。

横軸が0%付近のところでは、縦軸のほうも0%付近に固まっています。つまり、前日の株価の変動率があまり大きくなければ、当日の株価の変動率もそれほど大きくならない可能性が高いということです。

一方で、横軸が±5%の範囲を外れるあたりから、縦軸のばらつきが大きくなります。前日の株価の変動が大きい時には、当日も大きく株価が動く可能性が高いということです。

伝統的な投資理論では、期間ごとの株価の変動は独立しているという仮定を置いているため、前日の株価の変動とは無関係に当日の株価の変動を予測しますが、実際はそうではありません。

本物のグラフの縦軸のバラつきは上にも下にも行っているので、残念ながら昨日の株価の変動から今日の株価が上がるのか下がるのかを予測することは不可能ですが、どれくらい大きく動きそうかとうことはある程度予測することができます。

このように、伝統的な投資理論は、実際の市場の変動を忠実に表しているとは言えません。しかしながら、これに代わる実務で利用可能な投資理論は今のところ確立されておらず、年金資産の運用方針や投資戦略を考えるにあたっては、やはり今の投資理論に頼らざるをえません。

投資理論は完全ではないですが、リスクとリターンの水準を把握したり見比べたりするのには欠かせない、実務上有効な手段であることは確かです。現状では、投資理論の限界を知ったうえで、これを活用していくことが求められます。


ご参考までに、本物の市場がどう動いているのかについては、以下の本に興味深い内容が書かれています。関心のある方は一度手にとって見てもらえればと思います。

「禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン」(ベノワ・B・マンデルブロ著 東洋経済新報社)

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