年金資産運用プロセス(PDCA)中編

年金資産運用プロセス(PDCA)中編は、Doフェーズについてお話します。
目次
- 1 :1.運用機関の選任
- 2 :2.運用機関
- 3 :3.運用機関の選任プロセス
- 4 :4.運用ガイドラインの提示
年金資産運用プロセス(PDCA)表

年金資産運用プロセスのDoフェーズの「運用受託機関の選任」および「運用ガイドラインの提示」についてお話します。
3.運用機関の選任プロセス
上記の運用機関から運用機関の選任にあたっては、4つのP(Polciy、People、Process、Performance )を評価して選任するのが標準的な作業です。
DBガイドラインに定められた運用機関の選任プロセスでの留意事項を、4つのPに沿って整理すると下記の通りとなります。

ここで留意しなければならないのは、十分な体制を構築していないDBの場合、過去のパフォーマンスのみを評価し、それも十分な検証をせず(シミュレーションを実績と誤認、リスクを評価しない等)に運用機関を選任してしまうことが多々ありますが、それではDB法が求めている受託者責任を全うしていないのみならず、不適切な運用機関を選任してしまうことにつながりかねないということです。
また、こういった選任の際には、チェックシートのようなツールを用いて文書に落とし込み、その決裁過程(稟議、委員会の決議)の事跡(稟議書、委員会の議事録)も残す必要があることにも留意が必要です。
なお、2018年4月から改正されるDBガイドラインにおいては、運用機関選任の概要を、加入者に周知することになることも留意が必要です。
4.運用ガイドラインの提示
運用機関が選任されたなら、各運用機関に運用ガイドラインを提示します。
DBガイドラインに定められた運用ガイドラインに示す事項は下記の通りです。
(1) 資産構成に関する事項、運用手法(運用スタイル)に関する事項 (2) 運用業務に関する報告の内容及び方法に関する事項 (3) 運用受託機関の評価に関する事項 (4) 運用業務に関し遵守すべき事項 (5) その他運用業務に関し必要な事項 |
運用ガイドラインの提示において留意すべことは、運用の基本方針と合致した内容とすること、その他決定事項を漏れなく示し、運用機関に勝手な裁量を持たせる余地を無くすことです。
実際には、運用ガイドラインの起案は運用機関が行い、それを企業年金が提示する形が一般的ですが、通常、企業年金においては、運用機関が起案した運用ガイドラインの内容をチェックしていないものと思われますが、その際には、上記のように運用機関に勝手な裁量を持たせてしまうことにつながりかねませんので、注意が必要です。
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