平均残存勤務期間が数理計算上の差異の費用処理年数より短くなったときの対応

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平均残存勤務期間が数理計算上の差異の費用処理年数より短くなったときの対応

公開日:2017年2月13日

現在、数理計算上の差異の費用処理方法として、当期発生額を翌期から定額法による一定年数(10年)で費用処理する方法を採用しているものとします。

期末の退職給付債務計算において、平均残存勤務期間が現在の数理計算上の差異の費用処理年数(10年)より短くなってしまったため、費用処理年数を9年に短縮する場合、どのように償却費用を算出し、またどのように費用が変動するか説明したいと思います。

 

企業会計基準適用指針第25号『退職給付に関する会計基準の適用指針』の40項および104項に、費用処理年数である一定年数が短縮される場合、『未認識数理計算上の差異の期首残高は「短縮後の一定年数-既経過期間」にわたって費用処理する。なお、「短縮後の一定年数-既経過期間」がゼロ又はマイナスとなる場合は、当期に残高のすべてを一括して費用処理する。』とあります。

 

この内容を具体例で説明します。

まず、下表(1)のように、費用処理年数が10年という前提で当期の償却費用が確定しているとします。(償却費用:-1,800)

表(1) 数理計算上の差異の費用処理年数が10年の場合

発生年度 発生時の数理計算上の
差異の残高
(+:差損、-:差益)
当期首の数理計算上の
差異の残高
(+:差損、-:差益)
当期首における
残存費用処理年数
当期の償却費用
(a)
(+:差損、-:差益)
1 -27,000 -2,700 1 +2,700
2 +50,000 +10,000 2 -5,000
3 -24,000 -7,200 3 +2,400
4 +30,000 +12,000 4 -3,000
5 -44,000 -22,000 5 +4,400
6 +35,000 +21,000 6 -3,500
7 +24,000 +16,800 7 -2,400
8 -28,000 -22,400 8 +2,800
9 -16,000 -14,400 9 +1,600
10 +18,000 +18,000 10 -1,800
合計 +9,100 -1,800

 

そして、期末に平均残存勤務期間が短くなり、費用処理年数を9年に変更するとします。この場合、下表(2)のように、当期の償却費用が変動することになります。(償却費用:-6,200)

表(2) 数理計算上の差異の費用処理年数が9年に短縮された場合

発生年度 発生時の数理計算上の
差異の残高
(+:差損、-:差益)
当期首の数理計算上の
差異の残高
(+:差損、-:差益)
当期首における
残存費用処理年数
当期の償却費用
(a)
(+:差損、-:差益)
費用の変動割合
(b/a)
1 -27,000 -2,700 1 +2,700 1.000(=1/1倍される)
2 +50,000 +10,000 1 -10,000 2.000(=2/1倍される)
3 -24,000 -7,200 2 +3,600 1.500(=3/2倍される)
4 +30,000 +12,000 3 -4,000 1.333(=4/3倍される)
5 -44,000 -22,000 4 +5,500 1.250(=5/4倍される)
6 +35,000 +21,000 5 -4,200 1.200(=6/5倍される)
7 +24,000 +16,800 6 -2,800 1.167(=7/6倍される)
8 -28,000 -22,400 7 +3,200 1.143(=8/7倍される)
9 -16,000 -14,400 8 +1,800 1.125(=9/8倍される)
10 +18,000 +18,000 9 -2,000 1.111(=10/9倍される)
合計 +9,100 -6,200

 

まず、発生1年度目については、当初から当期で費用処理が終了する予定であったため、その償却費用は変更されません。(上記適用指針の「短縮後の一定年数-既経過期間」がゼロの場合に該当します。)

次に、発生2年度目以降は、費用処理年数が9年になるよう調整します。その方法は、当期首における残存費用処理年数を当初より1年(費用処理年数が10年から9年に1年短縮されるため)短縮したうえで、当期首の数理計算上の差異の残高を、短縮後の残存費用処理年数で割算して算出しなおすことになります。

これで、費用処理年数短縮後の当期の償却費用を算出することができました。

さて、ここで注意しなければならないのが、残存費用処理年数が短い発生年度の方が、費用の変動割合が大きくなるということです。

発生10年度目については、10年で費用処理する予定が9年になるため、費用の変動割合が1.111…(=10/9)倍になるのに対し、発生2年度目については、残り2年で費用処理する予定が1年になるため、費用の変動割合が2(=2/1)倍になります。

上記の例では、この発生2年度目の数理計算上の差異の発生額が大きいため、トータルの費用の変動割合も大きくなりました(6,200/1,800=3.444…倍)。

このように、期末になって予想もしていない費用の変動が起きる可能性がありますので、平均残存勤務期間と数理計算上の差異の費用処理年数が近い場合は、一度費用処理年数が短縮された場合の償却費用の額を把握しておくことをお薦めいたします。

 

※当コラムには、執筆した弊社コンサルタントの個人的見解も含まれております。あらかじめご了承ください。

 

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