西武鉄道株式会社様

「『SIP』の利用で、インパクト把握と、
早期の内容検討を進めることができました」
左/株式会社西武ホールディングス 総合企画本部 経理部 プロジェクトリーダー 小川 哲生 氏
中/株式会社西武ホールディングス 人事部 アシスタントマネジャー 町田 亨 氏
右/株式会社西武ホールディングス 総合企画本部 経理部 プロジェクトリーダー 金子 智治 氏
目次
- 1 :西武鉄道の概要と体制
- 2 :改正基準とIICPの提案
- 3 :採用の理由と活用法
- 4 :「SIP」の評価と今後の期待
西武鉄道は、西武グループの中核会社として、東京・埼玉に路線網を持つ鉄道会社です。同社で利用された、IICパートナーズの退職給付IFRS支援サービス「SIP」について、サービス導入の経緯から効果について、西武ホールディングス人事部の町田 亨氏、総合企画本部経理部の金子智治氏と小川哲生氏にお話を伺いました。
企業情報 | 西武鉄道株式会社 http://www.seibu-group.co.jp/railways/ |
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所在地 | 本店/東京都豊島区南池袋一丁目16番15号 本社/埼玉県所沢市くすのき台一丁目11番地の1 |
設立 | 1912(明治45)年5月7日 |
西武鉄道の概要と体制
西武グループ・西武鉄道について教えてください。
西武グループは、主に都市交通・沿線事業、ホテル・レジャー事業、不動産事業、建設事業など、暮らしになくてはならない事業を展開する企業グループです。その中で西武鉄道は、西武グループの中核会社として鉄道事業を中心に幅広い事業を営んでいます
持株会社である西武ホールディングスは、グループの中核事業を担う西武鉄道やプリンスホテルなどグループ54社の事業会社を統括するグループガバナンス体制を構築、運用しており、業務の効率化、グループ戦略の共有などを目的として、人事や経理業務を集約し、西武鉄道の退職給付会計の実務については西武ホールディングスの人事部と経理部で行っています。
社内的な役割としては、人事部が退職給付債務計算(PBO計算)の窓口として人事データ等の作成を担い、経理的な戦略については経理部が方針を出し、それに基づいて計算を行うこととなります。
IICパートナーズ様(IICP)には2000年の退職給付会計の導入当初より西武鉄道のPBO計算をお願いしています。現在では、西武ホールディングスをはじめその他グループ数社のPBO計算も委託しています。
改正基準とIICPの提案
影響が大きい退職給付会計基準の改正
2012年5月に公表された退職給付会計の改正基準による影響をどのように捉えていますか。 また、公表以前から対応の準備をされていたのですか。
ASBJ(企業会計基準委員会)から日本の退職給付会計の改正基準が公表される以前に公開草案が出されていました。IFRSとのコンバージェンスについても話題となっていましたし、公開草案が日本の会計基準になれば、単に会計の処理が変わるだけでなく、PBO算定の基礎から変わるもので影響は大きいと考えていました。
ただ、いつ改正基準が公表されるのかわからない事と、公開草案から変更される点があるかもしれない事を考慮して、動向を注視しつつも具体的な対応は見送っていました。

具体的に対応の準備をされたのは、公表以後ですか。
5月に改正基準が出されるとすぐに、IICPからセミナー開催の連絡があり、最新の情報を入手すべくセミナーに参加しました。セミナーでは改正点などをわかりやすく説明してくれました。ポイントが整理された資料は当社としても、大変参考になりました。
また、今回改正された基準では、会社側が選択しなければならない内容がたくさんあります。これまでのように、期末日現在で割引率を見直す必要があるかどうか、という程度なら社内でも予測をつけることができます。
しかし、今回の改正は選択次第で影響額が大きく異なりそうでしたし、経理部としてはある程度の金額を把握しておきたいという思いはありました。
改正基準の内容を考えると、社内だけで試算・検討を進めるというのには限界があるのではないかと思いましたね。
提案内容と社内的ニーズが一致

IICPから「SIP」の提案を受けたのはいつ頃でしょうか。
退職給付IFRS支援サービス「SIP」の提案を受けたのは6月でしたね。
「給付算定式に従う期間帰属方法」及び「イールドカーブによる割引率」により算定した退職給付債務、勤務費用、利息費用など、想定されるパターンすべてについて試算するというご提案をいただきました。
今回の基準では社内で選択をしなければならない部分が多くあります。選択するための材料として、ある程度のパターンについて試算し、その影響を検討することが必要となります。IICPから提案された内容は、社内的に必要としていることと一致していましたね。
試算の依頼先はどの様にして決められたのですか。
西武グループには、IICP以外にPBO計算を依頼している会社もありますので、試算サービスの提供をしている会社が他にないかを確認しました。
その時点では、セミナーを開催しているところはありましたが、試算サービスを提案してきている会社は他にはありませんでした。社内で必要な内容と提案が一致したことから、「SIP」の依頼を決めました。
採用の理由と活用法
提案の早さと、社内の事務負担の少なさ
IICPに依頼先を決められた理由をまとめていただけますか。
IICPから「SIP」の提案を受けたのはいつ頃でしょうか。
1.いち早く最新情報の提供とサービスの提案があった。
改正基準が公表されてすぐ、IICPからはセミナー開催の連絡と、「SIP」の提案がありました。いち早く検討に入りたいと考えていた当社では、スピーディーな対応に魅力を感じました。

2.西武グループの主要企業がPBO計算を依頼している。
西武鉄道などグループ内の主要企業がIICPにPBO計算を依頼しています。主要各社の試算を行ってもらい、各社の数値がつかめれば、グループ全体での影響額が大枠で把握できます。
早期適用の是非など、早急に検討が必要となる内容への対応がスムーズに行えると考えました。
3.社内の事務負担が少ない。
IICPには西武鉄道など数社が既にPBO計算を依頼していますので、直近のPBO計算で使用したデータを基に試算が可能でした。このため新たにデータを提供する必要がなく、人事部、経理部ともに事務負担が少ないことも大きなポイントでした。
仮に新たな委託先を選択した場合は、試算に必要となるデータを一から提供する必要があり、担当者に大きな負荷をかけることになると想定されました。
試算は8月に正式に依頼しました。結果については9月中旬に受け取り、あわせて内容に関する説明を受けることができました。
試算結果を元に社内資料を作成して検討
試算資料を、御社ではどの様に活用されていますか。
試算はすべてのパターンで算出していただきましたので、そこから広げていこうと考えました。まず、各社ごとの試算結果を、当社でまとめた資料に作り換えました。その資料では、グループ全体で見た場合の影響をパターン別に整理しており、比較検討できるものになっています。現在、社内で具体的な検討を進めています。
具体的には、早期適用の是非、割引率の選択や期間帰属方法について検討しています。どの様な選択にも、メリット・デメリットがありますので、それらを洗い出して、項目毎に選択による結果及び影響を整理・確認しています。
様々なパターンを試算していただいたことで、社内で判断するための材料として活用することができました。また、試算結果をグラフ化してご提供いただきましたので、説明する際、ビジュアル的に示すことができ助かりました。
検討の進み具合はいかがですか。
こちらでは、第二四半期決算が終わった頃に試算結果をいただけるのではないかと予測していましたが、予想よりも早く、9月中旬にいただくことができました。そこから、社内資料にまとめて、検討を進めています。
グループ全体の方針は西武ホールディングスとして決定して、グループ各社に伝えていきます。ただ、グループ会社によって、事業内容が大きく異なるため、慎重な判断が求められると考えています。
「SIP」の評価と今後の期待
会社の状況を理解した上での試算
「SIP」について評価していただけますか。
こちらが知りたい内容をすべて網羅し、しかも短時間で試算が完了したこと、また丁寧に内容を説明していただけたので助かりました。これまでにPBO計算を依頼していたため、必要となる数値や人事データだけでなく、私たちの状況を十分にご理解いただいた上で、対応いただけたのがよかったと思います。
最後にIICPに対するリクエスト、期待などがありましたらお願いします。
現在進めている社内での検討の結果によっては、再度試算をお願いする可能性もあります。その場合にはこれまでと同様にスピーディーかつ柔軟なご対応をお願いできればと思っています。
また、西武鉄道はじめ各社PBO計算も引き続きお願いしていきますので、いろいろな提案やサポートにこれからも期待しています。
※取材日時:2012年11月
※記載の担当部署は、取材時の組織名です。
※取材制作:カスタマワイズ