【IICP協働エピソード】株式会社アカウンティング アドバイザリー 的場清訓 氏
「退職給付でヘルプしてほしい時にはIICパートナーズを思い浮かべます。」
株式会社アカウンティング アドバイザリー 的場 清訓 氏 (中央)
株式会社IICパートナーズ 大森 祥弘 (左)
株式会社IICパートナーズ 大橋 祐太 (右)
株式会社IICパートナーズ(以下、IICP)は独立系の退職金・企業年金制度に特化したコンサルティングファームであり、監査法人やコンサルティング会社からお客様をご紹介いただくことも多くございます。
IFRS導入のコンサルティングに強みを持つ株式会社アカウンティング アドバイザリー(以下、アカウンティング アドバイザリー社)の的場氏をお招きし、同社の事業、強み、的場氏のご活躍を紹介するとともにIICPのコンサルタントとともにお客様の課題を解決した際のエピソード等を伺いました。
【協働エピソードの概要 】 ・IFRSの財務諸表が2ヵ月という短期間で必要となった企業を支援 |
企業情報 | 株式会社アカウンティング アドバイザリー https://www.aaco.jp/ |
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所在地 | 東京都港区六本木1丁目9番10号 アークヒルズ仙石山森タワー26階 |
設立 | 2010年6月24日 |
人員数 | プロフェッショナル:27名 (2022年6月1日現在) 公認会計士19名、米国公認会計士2名、中国公認会計士2名、弁護士1名、コンサルタント3名 |
アカウンティング アドバイザリー社の概要
監査法人の会計アドバイザリー部門を切り出したような企業
御社の事業内容について教えてください。
弊社のメイン業務は、IFRSや米国基準といった会計基準の導入支援です。特に、IFRS導入支援は、IPO準備企業からグローバルに事業を展開している上場企業まで、業種も多様に幅広く対応しています。そのため、経験やノウハウが相当程度溜まっており、効率的に実施できるようになりました。また、弊社では、会計不正の調査やそれに係る財務諸表の過年度修正への対応も行っています。会計不正が起こった場合に、不正の内容の調査とともに企業は公衆縦覧期間となっている期間(過去5年間)の財務諸表を提出期限に合わせてスピーディーに遡及修正しなければいけないことから、弊社はその財務諸表修正のサポートを行っています。過年度の財務諸表をかなりの短期間に直し、監査法人の監査まで受ける必要があるため、かなりスピーディーな対応が必要になります。
その他には、クライアントの経理部門への決算支援、IPO支援業務、決算早期化や買収後の会計周りのPMIサポートも実施しています。監査法人の会計アドバイザリー部門を切り出したようなところが弊社になるのかなと思います。
御社ならではの強みはどんなところですか。
弊社の強みは大きく分けて次の3つになります。
1:経験を活かした監査人目線でのアドバイス
弊社は30名弱の少数精鋭ですが、4大監査法人で監査やアドバイザリーを経験していたコンサルタントが揃っているので、監査法人の方針や落としどころを理解した上で、資料も監査法人に監査していただきやすいよう工夫して作成しています。IICPの計算結果報告書や資料も監査目線が入っていると思っていて、監査人が理解しやすいものを提供している点が似ていると感じています。
また、4大監査法人をはじめとした各監査法人は、会計基準の解釈にもそれぞれ法人ポリシーを有しておりますが、弊社は独立系のコンサルティング会社として、どの監査法人ともお付き合いしているため、そのような法人ポリシーも踏まえたアドバイザリーを提供しており、お客様にもご提示できる選択肢が多いですし、どの監査法人とも中立的なお付き合いができるのも大きな強みです。
2:「やれない」ではなく「やり方を考える」
また、短納期での会計アドバイザリーや短期間で財務諸表を作成するワークに長けており、実際にそのような短納期の仕事も多くあります。実例として、決算前に「急遽IFRSの財務諸表が必要になったが、2ヵ月で対応してくれますか?」という納期感でご相談いただくこともありました。GAAP差異調査も実施していない状況で断ることも出来ましたが、特有の業種に強みのある経験者もいますし、お受けしてやり切る選択をしました。
その際に外部専門家の関与が必要になった中で、IFRSベースでの退職給付債務の計算結果といった外部専門家のヘルプが必要だったところでIICPに相談して一緒に進めました。IICPや監査法人等いろいろな方の協力もあり、結果としてやりきることができました。IFRSベースの財務諸表の作成は全面的なサポートになるので、納期が厳しい場合等、他では断るケースもありますが、弊社は無下に断るのではなく、落としどころを見据えながら通常と順序を変えたりもしながら、対応しています。短納期での複雑な案件も、どうやったらできるかを考え、仕事を組み立てるようにしています。「やり方を考えてやる」ようにしています。
3:独立系ならではの小回りでスピーディーに対応
会社の規模にもよりますが、IFRSの導入は半年から1年近くかかります。大手監査法人では分業により小回りが利きにくい部分もあるようですが、弊社の場合、経験豊富なプロフェッショナルがスピーディーにどんどん進めていけます。また、監査法人では、受注の可否でも独立性の確認等手続のプロセスが増えてしまいますが、弊社では事務手続で時間を取られてしまうことがないのもスピーディーに動けるポイントだと思います。
IICPとの協働エピソード対談
ここからは、先ほどお話にも出来てきたIICPの協働エピソードを実際に担当した弊社の大橋も交えて対談させていただければと思います。 大橋さん、どんな案件でしたか? |
退職給付債務の計算を簡便法で行っていた企業にIFRSを導入するため、原則法による退職給付債務や開示用の各種数値を過去数年分作成する、という業務をIICPの方で対応させていただきました。印象的だったのは海外の監査法人による監査対応で、「割引率の算定に用いるイールドカーブの元データや作り方に関する資料を提出してほしい」「退職金制度の内容を開示用に要約して欲しい」など、他のお客様とはちょっと違う特殊性の高い依頼が多かったです。 |
海外の監査法人も絡んできたので、日本の監査法人とは違った要求事項もあり、合意をもらえるまで検討を重ね、前提を変更しての算定もあり苦労しましたね。 |
大橋 | 会計基準の解釈なども、実務面でどの程度許容されるかといった点は海外では違ったりしますよね。国内の監査法人と比較すると厳格主義な印象を受けました。実務的な慣例により柔軟に取扱うという考えは許容しないという感じでした。 |
的場氏 | 例えば、米国の監査法人でも、米国基準をベースにした考え方やポリシーがあり、IFRSであっても米国基準に合わせる必要があることもありますね。国によって色があって、弊社もアジャストしていますが大変です。 |
大森祥 | 週末の夜に「海外の監査法人から計算のための要件が来ない」と大橋から連絡が来たのは忘れもしないです。休み明けだと間に合わない位の納期で、「オーダーを予測して準備しておこう!」と大橋の背中を押したのを覚えています。退職給付債務を計算するアクチュアリーって計算の要件が決まっていないのに手を動かすって、普段やらないですよね。 |
大橋 | 私の前職の生命保険会社ではやらなかったですね。お客様にすべて決めていただき、書面で計算指示を依頼されるべきだと…。ただそれは綺麗事で、特に短期間で報告する工夫を考えたときにはお客様を導くという部分は絶対に必要ですね。あの時は、お客様の話を伺って、理解度やオーダーを予測して、こちらが先に動いて準備しておかないと間に合わないという状況でした。 |
大森祥 | 弊社の中でも退職給付債務計算や会計処理報告の量を捌くことからディレクションまでできるコンサルタントが揃っていて、大橋さんは当時営業を兼務していたということもあって、提案・要件定義の段階から一緒に動きましたよね。 |
大橋 | 当時は短期間で集中して計算する案件だと思っていたので、長期戦になるとは思っていなかったですが。 |
大森祥 | 的場さんはIICPと一緒に仕事をすすめる上で良かった点や今後期待することはありますか? |
的場氏 | 1番ありがたいのは、退職給付のレポートですね。会計基準の適用指針の設例とほぼ同じ形式なので仕訳が切りやすくて、経理目線や会計士目線でもかなり分かりやすく、会計仕訳に落とし込みやすいです。 2つ目は、やはりお客様にきちんと説明して頂けているところです。年金数理ってかなり難しくて、専門用語がたくさん出てきますよね。例えば、割引率の設定方法(イールドカーブと単一割引率のどちらを使うか等)といった話もお客様にとっては???の世界だと思うのですが、「分からないので任せます」で終わらせるのは良くなくて、やはり何をやっているのかを最低限は理解していただきたいと私達も考えています。御社はそこもきちんとお客様に説明して頂いているというところが良かったです。 あともう1つ加えると、先ほども話題に出ましたが短期間で対応してもらえるというところです。やはりスケジュールがタイトな仕事で、数理計算が必要になる場合、困ったらIICPを思い浮かべます。今回の件でも、IICPならうまく対応してくれるだろうと思って、真っ先にIICPに連絡しました。 |
大橋 | 普段そういう話は聞けないので、そんな風に言っていただいて嬉しいですね。 |
的場氏 | 私は、IFRS修正仕訳や注記の作成のためにもレポートの中身もよく読んでいますが、やはり年金数理人のレポートとして1番分かりやすいなと感じます。あとIFRSでは必要となることが多い開示のところもフォローしてくださっている点も助かります。大橋さんも大森さんも話しやすくて、困ったことも嫌な顔せず対応してくださるので相談しやすいです。大橋さんにいきなり連絡して、年金計算必要かどうかや数理計算について、教えてもらったりしますが、いつも嫌な顔せず答えてもらって助かっています。 |
最近のお客様対応のトレンド
最後に近年、お客様の対応をされていて感じているトレンドなどを伺えますか。
日本の上場企業に関してIFRSの任意適用が認められたのは10年以上前になります。今や200社以上の名だたる上場会社はほとんどIFRSになっていると思います。日本基準を使っている上場会社からIFRSの支援依頼も来ますが、最近は、IFRSベースでの財務諸表が急遽必要になったというイレギュラーなケースも多いです。例えば、日本企業同士の買収でも、対象会社に米国の株主が一定数以上いれば、アメリカのSECに米国基準やIFRSベースでの財務諸表(Form F-4)を作って出さなければならないルールがあります。このルールに該当することが判明して「急遽IFRSが必要になったから半年くらいで作ってください」という依頼があったりします。
もう1つのトレンドは、IFRS適用してのIPOですね。最近は、ファンドが投資して経営に関与し、そのままIPOしてエグジットさせるというケースが多いと思いますが、のれんの償却を止めることを主目的として、IFRSを導入して上場させるという案件が非常に多いです。
グローバルに展開している上場企業の多くは、IFRS導入済みであり、今後はIFRS導入の仕事がなくなっていくのかなと思っていたのですが、そうではなくて、今話した事案も多く、お客様からのご相談やご依頼はむしろ増えているように思います。企業にとってIFRSは避けて通れない道なのかなと感じますね。
IPO準備会社は人数が少ない場合には簡便法で退職給付債務を計算していると思いますが、急遽IFRSになると人数規模に関わらず原則法による退職給付債務計算が必要になりますから、御社を頼るケースもこれからも増えてくるのかなと思っています。
株式会社アカウンティングアドバイザリー ディレクター 公認会計士 / 米国公認会計士 的場 清訓 |
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2005年に中央青山監査法人京都事務所(現 PwC京都監査法人)入所、監査部門で約10年間にわたり、製造業を営むSEC登録企業およびそのグループ会社をはじめ、国内上場企業の会計監査や内部統制監査に従事。 その後、2011年にPwCあらた有限責任監査法人の財務報告アドバイザリー部へ2年間出向して以降、国内上場しているグローバル企業のIFRS導入アドバイザリー業務に従事。 2016年に株式会社アカウンティングアドバイザリーに入社し、現在はIFRS導入支援等の会計アドバイザリーに加え、IPO支援や買収後の会計周りのPMI業務等を提供している。 |
※取材日時:2022年8月
※記載の担当部署は、取材時の組織名です。