退職給付会計、企業年金・退職金について体系的に学べるライブラリー│ Pmas

サイト内検索

割引率の設定方法-2-設定方法の解説

割引率とは、「将来の退職給付見込額を割引計算により現在価値に換算する際の利率」のことをいいます。2012年改正基準により改正された設定方法について解説します。 解説を見る→

図解

図解:割引率設定方法に関する改正の概要

解説

設定指標

割引率は、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定されます。具体的には、期末における国債、政府機関債、複数の格付機関からダブルA格相当以上を得ている社債等の利回りを指標として用いる必要があります。

A:直接アプローチ

「A:直接アプローチ」は、各支払見込期間ごと(1年、2年、3年・・・T年)のイールドカーブ上の利回りを、各年度の退職給付見込額(過去期間分)にそれぞれ割り当て、各年度の退職給付見込額(過去期間分)ごとに割引現在価値計算を行い、それを集計して退職給付債務とする方法です。

B:等価アプローチ

「B:等価アプローチ」は、一旦「A:直接アプローチ」で退職給付債務を算定しておき、この「退職給付債務」と、「各年度の退職給付見込額(過去期間分)」から逆算で、単一の割引率Rを算定する方法です。

よって、この算定ロジック上、退職給付債務については、「A:直接アプローチ」と「B:等価アプローチ」の算定結果が基本的に一致することになります。

一方、勤務費用については、(退職給付債務が一致するように算定した)単一割引率Rを使用して計算する場合、計算結果は、必然的に若干相違することになりますので注意が必要です。

C:デュレーションアプローチ

「C:デュレーションアプローチ」とは、退職給付の支払いまでの期間を金額(現在価値)で加重平均したものを意味するデュレーションを算定し、このデュレーションに対応するイールドカーブ上の利回りを割引率とする方法です。

(注:「加重平均期間アプローチ」の場合は、この現在価値ベースで加重平均した期間であるデュレーションの代わりに、(現在価値ではなく)実額ベースで加重平均した期間である加重平均期間を使っており、「C:デュレーションアプローチ」の特殊ケースと言えます。現在価値に直していないことは、割引計算を加味していない(=割引率ゼロで割引計算した)と言い換えることもできるでしょう。)

 
実務上は、下図の算定例のように、2つの割引率による2つの退職給付債務を用い、マコーレー・デュレーションの対数近似式を用いて、デュレーションを算定するケースが多いと思われます。この方法であれば、エクセルにより比較的に簡易に計算できるので、実務上の負荷は、改正前とさほど変わらないでしょう。

割引率の見直しと10%重要性基準の判定方法

割引率については、毎期見直すことが原則ですが、DBOに重要な影響を与えないと認められる場合には見直さないことができます。この重要性の判断基準として、割引率については、「DBOの10%」を基準とする規定が設けられています。

すなわち、「前期末に使用した割引率による当期末DBO」と「当期末の国債利回り等に基づく割引率による当期末DBO」との差が10%未満であれば、前期に使用した割引率を当期末DBOにも使用することが可能です。

ポイント

「A:直接アプローチ」は、各支払見込期間ごと(1年、2年、3年・・・T年)のイールドカーブ上の利回りを、各年度の退職給付見込額(過去期間分)にそれぞれ割り当て、各年度の退職給付見込額(過去期間分)ごとに割引現在価値計算を行い、それを集計して退職給付債務とする方法。

「B:等価アプローチ」は、一旦「A:直接アプローチ」で退職給付債務を算定しておき、この「退職給付債務」と、「各年度の退職給付見込額(過去期間分)」から逆算で、単一の割引率Rを算定する方法。

「C:デュレーションアプローチ」とは、退職給付の支払いまでの期間を金額(現在価値)で加重平均したものを意味するデュレーションを算定し、このデュレーションに対応するイールドカーブ上の利回りを割引率とする方法。

Facebook
Google+