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退職給付債務の算定プロセス(期間定額基準及び給付算定式基準)

期間定額基準と給付算定式基準それぞれの退職給付債務の算定プロセスについて解説します。 解説を見る→

図解

解説

退職給付債務とは、(厳密な定義で言えば)「退職給付のうち、認識時点までに発生していると認められる部分を割り引いたもの」とされています(退職給付会計基準第6項)。

ただ、厳密な定義は少しイメージしにくいので、実質的には「退職者等に対する退職給付の支払義務を現在価値で評価したもの」というイメージで良いでしょう。

改正基準(新基準)では、この退職給付債務の算定において、退職給付見込額のうち期末までの発生額を抽出する方法、すなわち期間帰属方法として期間定額基準給付算定式基準の2種類が認められています(退職給付会計基準第19項)。

退職給付債務の算定プロセス(期間定額基準)

期間定額基準とは、「退職給付見込額について全勤務期間で除した額を各期の発生額とする方法」です(退職給付会計基準第19項(1))。

この期間定額基準による退職給付債務の算定プロセスは下図のように3段階で表すことができます。

退職給付債務の算定プロセス(期間定額基準)

  1. 退職率、昇給率、支払条件等を織り込んで、将来の退職金のキャッシュフローを予測
  2. 1. の額に勤続年数の比率をかけて、期末までに発生している額を計算
  3. 2. の額に割引率を使って、期末まで割引計算

退職給付債務の算定プロセス(給付算定式基準)

給付算定式基準とは、「退職給付制度の給付算定式に従って各勤務期間に帰属させた給付に基づき見積った額を、退職給付見込額の各期の発生額とする方法」です(退職給付会計基準第19項(2))。

この給付算定式基準による退職給付債務の算定プロセスは下図のように3段階で表すことができます。給付算定式基準は、期間定額基準と異なり、ステップ(1)において、いきなり「期末までの期間に帰属させた給付額」を見積もっていることが大きな特徴といえます。

退職給付債務の算定プロセス(給付算定式基準の場合)

  1. 給付算定式に従って、期末までの期間に帰属させた給付額を見積もる
  2. 1. の額に退職率、(昇給率、)支払条件等の変動要因を織り込んだキャッシュフローを計算
  3. 2. の額に割引率を使って、期末まで割引計算。

なお、この給付算定式基準による場合、勤務期間の後期における給付算定式に従った給付が、初期よりも著しく高い水準となるときには、当該期間の給付が均等に生じるとみなして補正した給付算定式に従わなければなりません(退職給付会計基準第19項(2)なお書き)。

さらに、この給付算定式基準については、ポイント制キャッシュ・バランス・プランを採用している場合、「a.平均ポイント比例の制度として扱う方法」と「b.将来のポイントの累計を織り込まない方法」の2つがあることが、「退職給付会計に関する数理実務ガイダンス(日本年金数理人会及び日本アクチュアリー会発行)」などで紹介されています。

この2つの方法の違いを上図で確認しておきます。特に上図のそれぞれにおけるステップ(2)の部分の金額について、昇給率を織り込むか否かが異なることにご留意下さい。

給付算定式基準―-a.平均ポイント比例の制度として扱う方法

(1) ポイント制の給付算定式を平均ポイント(ポイントの累計を勤務期間で除したもの)に勤務期間を乗じたものとして、給付算定式に従って、期末までの期間に帰属させた給付額を見積もる(2) (1)の額に退職率、昇給率、支払条件等の変動要因を織り込んだキャッシュフローを計算(注:昇給率を織り込む) (3) (2)の額に割引率を使って、期末まで割引計算

給付算定式基準―-b.将来のポイントの累計を織り込まない方法

(1) 各期に付与されるポイントをその期に帰属される給付として扱う。そのため、将来付与されるポイントを織り込まない。この給付算定式に従って、期末までの期間に帰属させた給付額を見積もる。(2) (1)の額に退職率、支払条件等の変動要因を織り込んだキャッシュフローを計算(注:昇給率は織り込まない) (3) (2)の額に割引率を使って、期末まで割引計算

なお、a.平均ポイント比例の制度として扱う方法の場合、期間定額基準の計算結果と近似するケースがあります。

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ポイント

退職給付債務とは、(厳密な定義で言えば)「退職給付のうち、認識時点までに発生していると認められる部分を割り引いたもの」。実質的には「退職者等に対する退職給付の支払義務を現在価値で評価したもの」というイメージで良い。

改正基準(新基準)では、退職給付債務の算定の期間帰属方法として期間定額基準と給付算定式基準の2種類が認められている。

退職給付債務の算定プロセス(期間定額基準)

  1. 退職率、昇給率、支払条件等を織り込んで、将来の退職金のキャッシュフローを予測
  2. 1. の額に勤続年数の比率をかけて、期末までに発生している額を計算
  3. 2. の額に割引率を使って、期末まで割引計算

退職給付債務の算定プロセス(給付算定式基準の場合)

  1. 給付算定式に従って、期末までの期間に帰属させた給付額を見積もる
  2. 1. の額に退職率、(昇給率、)支払条件等の変動要因を織り込んだキャッシュフローを計算
  3. 2. の額に割引率を使って、期末まで割引計算。
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