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IFRSの従業員給付(IAS19)に係る開示のために算定が必要な項目とは

IFRSでは日本基準よりも詳細な開示が求められます。従業員給付(IAS19)に係る開示項目には、確定給付制度債務(DBO)の計算機関に算定を依頼しなければ入手できない数値もあります。本コラムでは計算機関に追加で算定依頼が必要な項目についてご説明します。 解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント 辻 傑司
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掲載日:2015年3月27日

解説

IFRSと日本基準の開示

日本基準の退職給付会計は改正され、2014年3月期から従来よりも詳しい開示が求められるようになりました。例えば、退職給付債務の期首から期末への調整表などが新たに追加されています。

これらの改正はIFRSとのコンバージェンス(共通化)と同時に、退職給付に関する有用な情報を投資家に提供することが目的です。しかし、完全にIFRSと項目が一致したわけではありません。IFRSではさらに詳細な内容が求められます。

どういった項目を計算機関に依頼する必要があるのか?

DBOに関してIFRSでのみ求められている項目には、「再測定の内訳」「感応度分析」「満期分析に関する情報」があります。これらは決算処理に必要なDBOに加えて計算機関に算定を依頼する必要があります。

外資系企業の場合には、親会社からグループ共通のフォームが配付され、入力が求められるケースも多いようです。フォームの内容をよく確認し、計算依頼に漏れがないように気をつけましょう。

それでは以下で具体的な内容を見てみましょう。

再測定の内訳

再測定とは日本基準の数理計算上の差異に相当するもので、DBOに係る数理計算上の差異のほか、制度資産に係る収益等を含みます。DBOに係る数理計算上の差異は「実績による修正」と「数理計算上の仮定の変更の影響」により生じますが、後者については、下記に分けて示さなければなりません (IAS19.141c)。

(1)人口統計上の仮定の変更により生じた差異

退職率や死亡率、一時金選択率などの変更によるDBOの変動部分。

(2)財務上の仮定の変更により生じた差異

割引率や昇給率などの変更によるDBOの変動部分。

感応度分析

重要な数理計算上の仮定に関してはDBOに対する感応度分析が求められています (IAS19.145)。ここでの感応度分析とは、仮定の変化によりDBOがどのように影響を受けるか示すことです。具体的には、割引率を0.5%増加させた場合にDBOがいくら減少するかなどを開示します。

感応度分析の対象となるのは、DBO計算に用いた重要な数理計算上の仮定として開示した仮定とされています。

IFRSを任意適用している日本企業の場合、割引率に加えて昇給率を重要な数理計算上の仮定として開示している一方で、割引率のみ感応度分析しているケースも多く見られます。感応度分析を行う計算基礎については、制度内容や仮定の変動の可能性、影響度を踏まえて各企業で判断する必要があると考えられます。

満期分析に関する情報

企業の将来のキャッシュ・フローに与える影響の指標の一つとして、DBOの満期分析に関する情報の開示を求めています (IAS19.147c)。具体的には、DBOの加重平均デュレーションのほか、給付支払の時期の分布に関する情報もこれに含まれる場合があるとしています。

(1)DBOの加重平均デュレーション

DBOにおけるデュレーションとは、給付が発生するまでの期間を期間毎のDBOで加重平均したものです。割引率の決定にデュレーションを用いている場合は、当該デュレーションを開示することが考えられます。

(2)給付支払の時期の分布に関する他の情報

これに該当する情報としては、DBOの発生時期別の内訳が考えられます。ここでのDBOには、「割引前」の場合と「割引後」の場合があります。割引後の場合は各発生時期のDBOの合計が決算に使用するDBOと一致することになります。当該情報については、外資系企業がグループ共通フォームにおいて求められるケースが多いようです。


掲載日:2015年3月27日

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