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原則法移行時の社内説明のポイント-1- 説明方針の決定

退職給付債務(DBO)の計算方法を簡便法から原則法に変更する場合、社内における影響が大きくなるケースが見受けられます。本シリーズでは、社内におよぼす影響を理解してもらうための効率的な説明方法について解説します。解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント 辻 傑司
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解説

概要

退職給付債務(DBO)の計算方法を簡便法から原則法に変更した企業の担当者が苦労することの一つに社内での説明があります。原則法に変更することで一時的に負債が変動し、その金額的な影響が大きくなるケースも多く見られます。経営者等の社内での関心も自然と高くなり、担当者には納得のいく説明が求められます。

DBO計算は年金数理人等の専門家が計算しており、その中身を担当者が完全に理解するのは困難です。そのため担当者は概要を理解した上で説明することになります。しかし、概要の理解も決して容易ではなく、それをさらに別の人に伝えるというのですから、担当者の不安も大きいことでしょう。

(DBOに関する解説については、ライブラリー「退職給付債務の算定プロセス(期間定額基準及び給付算定式基準)」や関連記事をご覧ください。)

説明の方針

原則法のDBOは様々な前提やプロセスを経て算出されています。しかし、聞き手にDBOに関して理解してもらうために、そのすべてを説明する必要はありません。原則法移行で聞き手に共通の関心は「なぜこのような影響が出るのか」という点です。それでは、どのように説明するのが効果的でしょうか。

債務の考え方から説明する

簡便法から原則法への変更により、変更時点の債務と今後の費用が変わります。まずは債務の考え方から説明するのがよいでしょう。変更により最初に認識しなければならない会計上の影響は、債務の変動によるものです。また、費用は債務の増分に相当しますので、債務の考え方を理解してもらえたら、費用の考え方も自然と理解できます。

シンプルな例を使って全体的なイメージを説明する

DBOは個人別に計算しています。また、定年年齢までの1年毎の退職時を想定して計算しています。実際に計算しているパターンは非常に多いですが、各計算パターンの基本的な考え方は同じです。1つのシンプルなケースを例にとって説明しましょう。無数のパターンの一部に過ぎませんが、全体の傾向を十分説明することが可能です。また、DBOはグラフに表現することで、直観的に理解することができます。そのため、可能な限り説明ではグラフを活用することをお勧めします。

「今まで」「これから」「なぜ」の3つを説明する

変化を説明するために、次の3点に対する答えを説明に含めましょう。

  • 今まで・・・ 簡便法ではどのように債務が積み上がっていたか?
  • これから・・・原則法ではどのように債務が積み上がるか?
  • なぜ・・・簡便法と原則法で債務の違いはなぜ生じるか?

債務の増加要因に焦点を当てる

原則法移行により社内の関心が高くなるのは、特に債務が増加するときです。原則法の債務が簡便法より大きくなる主な要因として、以下が挙げられます。

  • 期間帰属方法・・・将来予測される退職金のうち、現時点までの発生部分を決める方法
  • 自己都合減額率・・・自己都合退職金の会社都合退職金に対する減額率
  • 予想昇給率・・・退職金算定に使用する給与の将来の上昇率

この他に重要な要素として「割引率」があります。これは減少要因となりますので、最後に説明するのがよいでしょう。計算方法によっては、影響額の正負を左右する要素となりますので、計算結果に応じて、どの程度説明に重点を置くか考えるようにしましょう。


本コラムでは、原則法移行時に社内説明する際の概要と説明方針について解説しました。次回は説明する手段のポイントを解説します。

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