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退職金・企業年金の現状に迫る(2015冬)~退職金・企業年金の今、そして未来は?~

はじめに

老後の備えのために重要視する人も多い退職金・企業年金。公的年金の縮小、労働市場の流動化など、近年の環境変化により、ますますその重要性が高まると予想されます。

では、実際に受け取る立場の人々は、現状をどのように感じ、将来の見通しをどのように描いているのでしょうか。全国の会社員100人の声を集めてみました。

調査概要

  • ■調査地域:全国
  • ■調査対象:【職業】会社員
  • ■調査期間:2015年11月~2015年12月
  • ■有効回答数:100サンプル

現状の水準に満足ではない人が8割!?「不満」「水準がわからない」という声が続々……

画像:退職金・企業年金の現状の水準は?

調査結果の概要

それは怒りか、諦めか。会社員が語る、現状の水準への不満。

全体では、「不満」という側が過半数(52%)となりました。しかも、「どちらかといえば不満」より、「不満」を選ぶ人がもっとも多く、3分の1を占める結果に。本当にこれでいいのでしょうか……?

回答者の声

・老後を考えると全く足りない。定年年齢をあげてもらわなければ先々が不安。(50代/男性/会社員)

・上長が退職した際にもらった退職金を聞きましたが、一ヶ月分の給料程度だったので我が耳をうたがいました。(30代/男性/会社員)

・会社には退職金制度がない。長い期間会社に貢献したのだから、それに相当した退職金が欲しい。(30代/男性/会社員)

回答者の声によると、不満の理由は大きく分けて以下の2つに分類されます。

  1. 金額が少ない、減らされていっている
  2. そもそも制度がない

企業が退職金・企業年金の運用にかけられるコストにもかぎりがあります。一方で、金額が少ない、あるいは制度がないことが不満につながっているという現状をきちんと認識することも重要です。コストをかけてせっかく制度を設けていても、従業員の不満の声が多いようでは十分なパフォーマンスが出ているとは言えません。また制度がなく、今後も導入しない場合には、その理由をきちんと従業員に納得してもらえるように説明することが必要となるでしょう。

経営者、退職給付の担当者のみなさんは、今後の人事戦略などと照らし合わせて、一度自社の状況を見直してみてはいかがでしょうか。

「わからない」という声が多数!「満足」できるのは選ばれし者の特権!?

では、「不満」という側の回答を選んだ人以外はおおよそ満足しているのでしょうか。回答を見ていくと、どうやらそうでもなさそうです。「不満」に次いで多かったのは4人に1人が選んだ「水準がわからない」。一方、「満足」はもっとも少なく1割にも届きません。「どちらかといえば満足」を合わせてようやく5人に1人という結果に。

回答者の声

・水準自体がわからない。ないに等しい退職金ぐらいにしか思っていない。(30代/女性/会社員)

・明確な説明がなく、規程類にも記載がないためはっきりとしていない。(40代/男性/会社員)

・退職金や企業年金制度があるだけでもありがたいとも思うので、勤務先の水準にはある程度満足しています。(30代/男性/会社員)

・明確に将来退職後いくらもらえる予定なのかを示してもらっているので安心している。(30代/男性/会社員)

「満足」できている人が少ない一方、「水準がわからない」ことは「不満」の理由としてあげられている場合もありました。水準がわからず、それによって不安を抱えている人は多そうです。

はたして、満足度は向上できるのか。取り組みの方向性とは?

全体としては、「満足」「それなりに満足」が2割、それ以外が8割という結果となりました。満足している人たちの声を聞くと、以下の3つのパターンに分けることができそうです。

  1. 充実している
  2. それなり(平均かそれ以上)だから
  3. だいたいの額が分かっている(明確)

制度、支給される額が充実していればもちろん満足度は高くなるでしょう。「充実している」とまでは言い切れなくても、同業他社などと比べて一定以上の水準であれば、満足できる人は多そうです。

また、「水準がわからない」と答えた人が多いことを考えると、制度がある程度整っている企業においては、従業員に対し定期的に説明を行う、関連する規程類等の情報をわかりやすく公開する、などコミュニケーションを進められれば、不満の原因を解消し、もっと「満足」の側を選ぶ人を増やせるかもしれません。

従業員の不満をおさえ、満足度の向上を図る、という観点でいえば、まだ制度を導入していない企業はなんらかの制度の導入を、すでに導入している企業は制度のパフォーマンス向上をめざした取り組みを、検討してみると良いかもしれません。採用競争の激化など、人材マネジメント強化の必要性が高まっていると言われる中、アンケートで見られた回答は、企業にとっての今後の課題の一端を示すものではないでしょうか。

将来にはさらに悲観的な声が。8割が悲観する中、増えると答えた1割も……?

画像:退職金・企業年金の将来は?

調査結果の概要

大きなタメ息が聞こえてくるかのような、不安と悲観のハーモニー。

現状への不満を上回る大きさで聞こえてきたのが、将来の見通しへのタメ息……ならぬ悲観的な意見。「減る」という見通しの人が過半数、「どちらかといえば減る」を選んだ人を合わせるとなんと8割を占めることになりました。

回答者の声

・今後は退職金自体が減っていく可能性が高い。すでに退職金という制度自体が導入されていない会社も多い。(30代/男性/会社員)

・少子高齢化の進むこのご時世、一人当たりの定年退職者へ支払われる退職金の額は減る一方だと思うから。(20代/女性/会社員)

・徐々に制度改正でもらえる金額が減ってきているのが目に見えてわかるから。(40代/男性/会社員)

・どこも業績悪いし、どんどん減っていくんじゃないですかね。老後が怖いです。(30代/男性/会社員)

「減る」「どちらかといえば減る」も理由としてあげられているのはほぼ同じような内容でした。少子高齢化の影響、景気・経済的な影響、会社の状況・実際に縮小してきている制度……。回答したみなさんが悲観的だ、というより、現実的に考えると行き着く答えが「減る」という方向だ、という見方の方が適切かもしれません。

ただ、みんながそう思っているからといって、本当にそれで良いでしょうか。悲観的な回答の背後に見え隠れする、退職後・老後の不安を、少しでも軽減するような手は、なにかできることは、ないのでしょうか……?

「増える」のは見通しではなく、希望的観測!?

以下、「わからない」「どちらかといえば増える」がつづき、「増える」という回答はわずか1%。

テレビ番組であるような、「100分の1アンケート(100人中1人が”はい”と答える質問を作る)」に当てはまる割合と考えると、相当低いと言わざるを得ません……。

回答者の声

・減る事はないと思いますが、かと言って増えるとも思えないし、その時になってみないとわからない。(30代/女性/会社員)

・行政側の年金が減り、企業としての付帯をするべきだと思うので。(30代/女性/会社員)

・企業が一部上場企業の為、業績次第で増えていくと思います。重要な事だと思います。(30代/男性/会社員)

・増えてもらわないと困る。年金も下がって、もらえる年齢も上がっているのに。(30代/女性/会社員)

「どちらかといえば増える」「増える」という回答で目立ったのが『増えるかわからないが、増えてもらわないと困る』という意見でした。

基本的には悲観的な見方が強いものの、『なんとかなってほしい』という希望的観測から、あえて「増える」という回答している、ともいえるのかもしれません。

不安と悲観と疑問が生む負のサイクル。今までにない、新たな手が必要!?

全体としては、現状への不満以上に、将来への悲観的な見方が目につく結果となりました。少子高齢化、経済状況など、企業努力だけでは如何ともしがたい社会情勢が背景になっている面もあり、大変難しい問題だといえます。

企業自体も将来の見通しを明確に立てることは難しい中で、従業員に対して明るい見通しを示せるか、というとそれもまた困難であるにちがいありません。

しかし、だからこそ、これまでにない新たな取り組みとして、あまり注目されてこなかった退職金・企業年金に関して、その長期的な影響力を考慮しながら現状の改善を図る余地がないかどうか、またそれによって従業員の不安の軽減や人生設計のサポートが図れないか、検討することには価値があるのではないでしょうか。こうした取り組みをどのように進めるかは、企業の従業員に対する姿勢が現れる重要な一面といえるかもしれません。

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