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内部統制構築後の取り組みとは~退職給付会計における内部統制 -6-

お客様と共にシステム開発やサービス提供を行ってきた経験から退職給付会計業務における内部統制のエッセンスをお伝えしたいと思います。内部統制の構築が「一旦」完了した後は…?実は大切な、構築後の取り組みについて解説します。解説を見る→ 

IICパートナーズ コンサルタント 八丁 宏志
著者プロフィール
掲載日:2014年7月16日

解説

実行可能なコントロールの配置が終わったら、退職給付会計業務における内部統制の構築は一旦終了です。そうなんです。あくまでも「一旦」終了なのです。

退職給付会計業務に限らず、内部統制等、いわゆるPDCAのサイクルをもつものは、構築後の取組の方が重要です。今回までご紹介してきた内部統制の関連コラムは、実は序章にしかすぎません。 PDCAサイクルの初めのP(Plan)部分に該当します。

この後、実際の業務を遂行(Do)する中で、構築した内部統制を検証(Check)し、業務に合わないもの、バランスが取れてないもの等を見直して改善(Act)していきます。これを、毎年、毎年繰り返すことで、その企業にマッチした内部統制が構築されるようになります。要するに、内部統制に係る作業が業務フローに組み込まれることが期待されます。

想像すると

内部統制が業務に組み込まれているものを例示します。

検討会議を開催

経営、経理、人事の各担当者が参加し、当年度決算に向けた退職給付会計業務の取組を確認します。この会議では、スケジュールや基礎率についての取り決めを確認する他、会計基準や退職給付制度の変更があるかを確認します。また、前年、業務を遂行する中で起こった課題への対応策も確認します。必要に応じて業務フローや検証方法を変えます。

計算委託会社と計算内容を協議

会議の内容で確認された内容を元に、退職給付債務の計算委託先と協議を行います。ここでの参加者は、経理・人事の担当者となります。制度変更があればその内容を正確に委託会社に伝えたり、会計基準の変更有無について委託会社に確認するのも、この協議の中で行います。また、スケジュールに無理がないか、採用予定の基礎率や計算前提について会計基準に準拠しているかといった環境面も確認しておきます。

人事データの作成と計算の指示

計算委託会社に、(人事の作業担当者と検証担当者が)先の会議で決められた適切な検証・手続きを経た人事データ、計算前提を渡します。計算委託会社に必要な情報を渡した後も、随時スケジュールの確認を行ったり、計算過程で想定と異なる事がないか確認するなど、計算委託会社との双方向のコミュニケーションをとります。場合によっては計算委託会社からデータの確認依頼があったり、期末の利回りによっては割引率の見直しを求められますので、事前に定めておいた手続きによって適切に対応します。(この時の対応内容は残しておき、最後の報告会議の中で次年度の協議事項として報告します。)

報告内容の確認と会計処理

計算委託会社より退職給付債務計算の結果に関しての報告を受けます。報告を受ける際には、指示した計算前提と計算に使用されたものが一致しているか、渡した人事データにも相違がないか確認します。また、計算結果について例年と大幅な相違がないか確認し、あればその理由を尋ねます。報告内容に問題がなければ、それを経理担当に渡し会計処理を行います。他の担当者に引き継ぐ場合は、決められた手順により適切に検証作業を行います。

退職給付会計報告会議を開催

最終的に算定された退職給付引当金、退職給付費用、その他諸数値について、経理担当者から報告し、退職給付債務の計算内容については人事担当者から報告します。それぞれ、検討会議で想定した通りであったのか確認します。
また、想定外であった場合の対処に問題がなかったのか確認します。対処内容に問題がなくとも、仕組みとして問題があれば対応を協議し、次年度の業務フローや検証内容を見直します。

内部統制の試金石

上記はあくまでも一例ですが、このように体系立てて退職給付会計業務を行っていなくとも、内部統制は皆さんの業務の中に組み込まれているはずです。それを確認できるのが、退職給付会計基準の改正です。

この改正基準に経営、経理、人事等、関連する部署が関わりながら、変更内容を確認し、スケジュール通り誤りなく対応できたのであれば、それはどんな形であれ、内部統制が業務の中に組み込まれています。それを先に記載した方法で見つけ出し、書き出せば、自社の内部統制を確認する事ができます。

また、逆に、変更内容の決定に際して担当者任せであったり、スケジュールの遅延、あるいは思いもよらぬ差異が発生し再計算するといった事があれば、問題点を洗い出し、内部統制の構築に向けてプロジェクトを組む等、対応を検討します。


掲載日:2014年7月16日

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