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代行割れ基金への対応~厚生年金基金制度の抜本的見直しについて -5-

2013年6月に厚生年金基金制度を抜本的に見直す法律が成立し、2014年4月に施行されることとなりました。これに伴い、基金に加入する企業がとるべき対応や検討事項、留意点などを考察します。今回は、代行割れ基金への対応を解説します。解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント 向井 洋平
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掲載日:2014年6月11日

解説

前回は主に代行割れしていない基金を念頭に、基金としての選択肢と、それらに応じた加入各社の選択肢をまとめました。

財政状況に余裕があれば、代行部分を国に返した残りの資産をどう振り向けるかで選択の幅も広がりますが、代行割れ基金の場合はまず代行部分の返済資金を確保し、解散手続きを完了させなければなりません。加入各社にとっても代行部分の穴埋めといういわば「マイナスからのスタート」となります。

今回はこの代行割れ基金への対応について解説したいと思います。

本来、基金の解散時に代行部分に対する不足がある場合はその不足額を加入各社で分担して一括で穴埋めする必要があります。但し、今回の制度見直しでは代行割れ基金に対する「特例解散」の制度が用意されており、一定の要件を満たした基金に対しては以下の2つの特例が認められています。

(1)納付額特例:代行部分の返還額の計算方法に特例を設け、原則通り計算した額と比較して小さいほうの額とすることが可能。

(2)納付計画:代行部分に対する不足額の穴埋めを、一括ではなく分割払いとすることが可能。納付期間は原則5年だが、最大30年までの延長が認められている。

同様の特例は以前にもありましたが、(2)の納付計画(分割払い)については「連帯債務」の問題があり、特例解散の足かせになっていました。

例え自社の負担分については解散時に一括で返済していたとしても、分割払いをしていた他の加入企業が途中で倒産してしまった場合、その未払い分を残りの加入企業と分担して肩代わりしなければならなかったため、合意が得られにくい状態だったのです。

しかし、今回の制度見直しに伴いこの連帯債務は免除され、その代わりに各社で1年ごとの支払額等を定めた「納付計画」を作成し、国の第三者委員会での審議を経て承認するという手続きを踏むことになりました。また、納付先は基金ではなく、直接に国に支払うこととなりました。

 


第3回社会保障審議会企業年金部会資料より

ところが、今度はこの納付計画を作成しない(できない)加入会社があるめに手続きが進まない恐れがでてきたため、納付計画を作成しない会社については基金が代わりにまとめて納付計画を作成し、提出することが認められました。この場合、納付計画を作成しない事業所は、従来通り連帯して債務を負うこととなります。

 


第3回社会保障審議会企業年金部会資料より

また、従来の分割払いの特例では納付までの期間に応じて加算される利息が国の厚生年金の利回りに応じて連動する仕組みになっていましたが、これについては解散時の10年国債利回りで固定することとされました。これにより、分割払いで返済する会社にとっては計画が立てやすくなったといえます。

もし自社が加入している基金が代行割れとなってしまっている場合は特例解散となる可能性が高いので、代行部分の不足に対する自社の負担額を把握した上で返済計画を考えておく必要があります。また、実際に基金が納付計画の特例を受けることとなった場合には、連帯債務を回避するためにも納付計画を作成・提出しておく必要があります。

その上で、従来の基金の上乗せ部分に代わる給付継続のニーズがあり、かつ会社負担が許容範囲に収まるのであれば、前回解説した通常解散のケースと同様に独自の代替制度を設けることも考えられるでしょう。

次回は代替制度を設ける場合の選択肢などについて解説したいと思います。


掲載日:2014年6月11日

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