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各基金・加入会社の対応~厚生年金基金制度の抜本的見直しについて -4-

2013年6月に厚生年金基金制度を抜本的に見直す法律が成立し、2014年4月に施行されることとなりました。これに伴い、基金に加入する企業がとるべき対応や検討事項、留意点などを考察します。今回は、各基金・加入会社の状況にあわせた対応として、どのような方策があるのかを解説します。解説を見る→ 

IICパートナーズ コンサルタント 向井 洋平
著者プロフィール
掲載日:2014年5月21日

図解

図表1

解説

前回のコラムでは、厚生年金基金としての存続が困難な多くの基金にとって、残された道は

  • 解散:代行部分の資産を国に返し、残りの資産を加入員・受給者に分配して清算する。
  • DB移行:代行部分の資産を国に返還した上で、上乗せ部分だけの純粋な企業年金として継続する。

の2つに大きく分けられ、DB移行の場合には上乗せ部分に関して給付が継続される一方で、積立不足解消のための負担が必要になる点を指摘しました。

また、基金に加入する各社で給付の継続に対するニーズ(従来の上乗せ給付を継続するか、別の形で従業員に対する給付を用意するか、あるいは給付自体をやめてしまうか)や掛金負担に対する余力は異なるため、基金としての意思統一が難しいケースも多いと予想されます。

今回は、各基金・加入会社の状況にあわせた対応として、どのような方策があるかを見ていきたいと思います。概要をまとめると図表1のようになります。 

解散する場合

(1)(2)は一旦基金を解散するという点では同じですが、(1)が残りの資産を分配して基金としての対応は終了であるのに対して、(2)は給付の継続を希望する会社のために基金として別途受け皿となる制度を用意するというパターンです。

(2)の場合、新たな制度に加入する会社の従業員に対しては直接資産が分配されるわけではなく、新たな制度の積立金に引き継がれることとなります。

また、(2)とDB移行の違いとしては以下の点が挙げられます。

  • これまでの制度とは切り離して積立不足のない状態から新たな制度をスタートさせることが可能(一方で従来の上乗せ給付は保証されない)
  • 新たな制度に加入するかどうかは各社の任意

従って、DB移行については掛金負担等の面で実現困難であるものの、何らかの受け皿制度を用意してほしいという各社からのニーズがあった場合の対応として(2)のパターンが考えられます。

給付の継続を希望する会社の立場から考えると、(1)のケースでは独自に受け皿制度を用意する必要があります。この場合も従業員に対して直接資産を分配することなく、別途設けた受け皿制度の資産として引き継ぐことが可能です(但し会社が受け取ることはできません)。

(2)のケースでは基金が用意した制度に加入することもできますし、独自に用意した受け皿制度に引き継ぐこともできます。

DB移行する場合

次に(3)のDB移行ですが、前回指摘したようにDB移行を行うには実質的に全社の同意を得る必要があるため、DB移行を希望しない会社は事前に基金を脱退することになると考えられます。

但し脱退する際には上乗せ部分を含めた積立不足の額に対して応分の負担額を一括で基金に納める必要があるため、脱退したくても(させたくても)できないという事態も想定されます。これについては、今回の厚生年金基金制度の見直しにあわせてDB移行の方針を決議した基金に関しては上乗せ部分の給付水準を代行部分の1割相当まで引き下げてもよいことになりましたので、これを活用して脱退する会社の加入員に対する給付減額を実施することにより、脱退時の負担を軽減させる対応が考えられます。

また、何らかの形で給付を継続したいがDB移行後の制度には入りたくないという会社に関しては、基金を脱退した上で独自の受け皿制度を用意することも考えられます。この場合も脱退による基金からの一時金給付を従業員が直接受け取るのではなく、受け皿制度に引き継ぐことが可能です。

但し解散の場合と異なり、基金の給付設計や脱退までの加入期間によっては一時金給付の選択肢がなかったり(将来年金給付の形で基金から受け取る選択肢しかない)、一時金を選択できても法令上他の制度に引き継ぐことが認められない(一時金を選択した場合は本人受取のみ)ケースがあるので注意が必要です。

グループ分けし、グループごとに異なる対応をとる場合

最後に(4)のパターンですが、これはDB移行を希望する会社(あるいは基金事務局)と解散を希望する会社とがあって、基金として意思統一が困難な場合の対応として考えられる方法です。

加入各社にとっては(1)~(3)と違い、解散とDB移行の両方の選択肢ができることになりますが、手続きは最も複雑であり時間がかかることが予想されます。

また、給付を継続したいがDB移行後の制度には入りたくないという場合には、解散のグループに入った上で独自の受け皿制度を用意し、そちらに引き継ぐことも考えられます((2)のケースと同様)。

このように、基金全体としての方針によって、各社がとることのできる対応も異なりますので、まずは自社の加入している基金がどのような方針、予定でいるのかを把握しておくことが重要です。

なお、今回取り上げた内容は主に代行割れしていない基金、すなわち積立金が国に返還すべき代行部分の資産額を上回っている基金に当てはまるものであり、代行割れしている基金の場合は解散を前提として代行部分の不足をどう埋めていくかが喫緊の課題になります。

これについては次回解説することとします。


掲載日:2014年5月21日

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