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厚生年金基金とは~厚生年金基金制度の抜本的見直しについて -1-

2013年6月に厚生年金基金制度を抜本的に見直す法律が成立し、2014年4月に施行されることとなりました。これに伴い、基金に加入する企業がとるべき対応や検討事項、留意点などを考察します。第1回として、厚生年金基金について概観します。解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント 向井 洋平
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掲載日:2014年2月12日

図解

注:企業年金の資産運用に関しては、企業や基金が方針決定及び運用委託先・商品の選定を行い、実際の資産の管理運用については信託銀行・生命保険会社等の運用受託機関が行うこととなります。

解説

はじめに

2013年6月に厚生年金基金制度を抜本的に見直す法律が成立し、2014年4月に施行されることとなりました。これにより、今後5年のうちに厚生年金基金制度は実質的にほぼ廃止されることとなります。現在存続している厚生年金基金の大半は、解散もしくは代行返上の判断を迫られ、対応に追われることになるでしょう。

一方、基金に加入している各企業にとっても、従業員に対する将来の退職金・年金の支払いに大きな影響を及ぼすことになります。これから何回かに分けて、基金に加入する企業がとるべき対応や検討事項、留意点などについてまとめていきたいと思いますので、参考にしていただければ幸いです。

厚生年金基金とは

厚生年金基金制度は確定給付企業年金制度(DB)や確定拠出年金制度(DC)と並ぶ企業年金制度の1つです。

DBと同じく確定給付型(つまり、従業員の給与やポイント、勤続期間などに基づいて退職金や年金の額が計算される)の制度ですが、国の年金の一部である厚生年金の報酬比例部分を取り込んでいることが大きな特徴です。

基金では、厚生年金保険料の一部を国に代わって徴収・運用し、厚生年金の一部を国に代わって支給していることから、この部分を「代行部分」と呼び、それに上乗せしている純粋な意味での企業年金部分を「上乗せ部分」あるいは「プラスアルファ部分」と呼んでいます。

ちなみに、従来よりこの厚生年金基金の問題に取り組んできたオーヴァル・リスクマネジメント・サービシーズの宮原氏は、著書「年金倒産」の中でこの状態を指して厚生年金基金を「公私混同型年金」と表現しています。(NHKの「視点・論点」に出演した時は「公私混在型の企業年金」と表現。)

さて、基金が代行部分を持つことの意味合いですが、国に代わって徴収する掛金と支給する年金については算定方法が一律に定められているため、各基金はいわば事務を代行しているだけということもできます。

しかし、掛金の徴収と年金の支払いの間にある積立金の運用に関しては、一定のガイドラインは定められているものの、基本的には各基金の判断に委ねられています。

つまり、年金資産の運用に関しても代行しているわけですが、その方法については一律に定められているわけではないため、各基金の運用の巧拙により財政状況が左右されることとなります。

国(正確には「年金積立金管理運用独立行政法人」)が行っている公的年金の運用より高い収益を上げることができれば、その部分については基金にとってのプラスとなりますが、公的年金の運用利回りを下回った場合は不足が生じ、加入企業からの追加掛金等により穴埋めが必要となる仕組みになっています。

これを加入企業の立場から見ると、代行部分に相当する保険料を国から借り入れ、そのお金を基金に運用委託し、国に対しては公的年金の運用利率で利息を付けて返済する義務を負っている状態にあると言えます。

基金の運用利回りが借入利率(=公的年金の利回り)を上回ればその運用益を上乗せ部分の原資に回すことができる一方、下回ったときには返済資金の補填が必要になるというわけです。

次回はこの厚生年金基金制度が実質的に廃止されることとなった経緯について見ていきたいと思います。


掲載日:2014年2月12日

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