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企業年金連合会の共同運用事業について~3.共同運用事業のメリットと留意点

当コラムの第1回では共同運用事業の概要について、第2回ではその運用方針や運用実績について解説を行いました。
今回は、これらの内容を踏まえて、共同運用事業のメリットと留意点についてまとめていきます。解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント 向井 洋平
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掲載日:2017年5月15日

解説

当コラムの第1回では共同運用事業の概要について、第2回ではその運用方針や運用実績について解説を行いました。

今回は、これらの内容を踏まえて、共同運用事業のメリットと留意点についてまとめていきます。

共同運用事業のメリット

資産規模数十億円程度の企業年金の場合、資産残高に対して0.5%程度の運用コストがかかるのが一般的ですが、第2回で紹介したとおり、連合会の通算企業年金における運用報酬は0.1%強となっています。

また、Q&Aの資料によると共同運用事業の投資口に係る信託報酬は資産規模に応じて最大0.1%とされており、これを合わせても0.2%台まで運用コストを節減できることが期待できます。

次に、共同運用事業を通じて、プライベートエクイティ、ヘッジファンド、インフラ投資、不動産投資などのオルタナティブ投資を含めた幅広い対象に投資できる点があります。企業年金単独では、資産残高やリスク管理体制の観点から対応が難しい場合でも、共同運用事業に加入することでこうした運用を取り入れることができます。

もちろん、共同運用事業に加入することで運用成績の改善が保証されたり、受託者責任を免れるわけではありませんが、新たな選択肢ができたのは歓迎すべきことと言えます。

共同運用事業の留意点

共同運用事業での運用は連合会の運用方針に沿って行われるため、個別の企業年金に応じたカスタマイズはできません。従って、共同運用事業自体を1つの運用商品と捉え、年金資産運用全体の中での位置づけを明確にしておく必要があります。

各企業年金の運用基本方針や、政策アセットミックスとの関係も整理しておく必要があるでしょう。

また、掛金や給付による資金の出入りはないため、年金資産全体が増加(または減少)していく過程にある場合には、共同運用事業の運用資産の追加(または取崩し)を適宜行わないと、年金資産全体に占める割合が減少(または増加)していくことになります。

運用状況の報告については、月次の報告のほか合同説明会が行われる予定となっていますが、個別のミーティングは行わないとしています。

連合会としては共同運用事業について積極的な営業活動等を行うことはせず、コストに配慮した広報活動を行うとしており、加入後の運用報告についても同様のスタンスでの対応になるものと考えられます。


2016年10月に始まった共同運用事業ですが、「積極的な営業活動は行わない」という連合会の方針もあり、特に連合会の会員になっていない企業年金にはほとんど知られていないのではないかと思います。

加入にあたっては、必要な手続きや運用内容等の詳細について連合会に確認したうえで、自社の企業年金の運用方針との整合性や位置づけを整理しておくことが必要となります。

ただ、特に資産規模の大きくない企業年金にとっては、これまでにない運用の選択肢が1つできることになりますので、一度検討してみてもよいのではないでしょうか。


掲載日:2017年5月15日

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