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企業年金連合会の共同運用事業について~2.企業年金連合会の運用方針と運用実績

共同運用事業の資産運用は、連合会が管理運用している通算企業年金の資産と合算して、通算企業年金の運用方針に基づき運用されます。
今回は、「2015年度年金資産運用状況(速報)」及び「企業年金連合会 年金資産運用状況説明書」から、企業年金連合会の運用方針とその実績について解説します。解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント 向井 洋平
著者プロフィール
掲載日:2017年4月10日

解説

前回解説したように、共同運用事業の資産運用は、連合会が管理運用している通算企業年金の資産と合算して、通算企業年金の運用方針に基づき運用されます。

従って、共同運用事業への加入を判断するには、まず企業年金連合会の運用方針を理解し、どのような形で自社(自基金)の運用に組み入れたら自社の運用方針に適合させることができるかを考えるとともに、運用実績の評価を行う必要があります。

今回は、「2015年度年金資産運用状況(速報)」及び「企業年金連合会 年金資産運用状況説明書」から、企業年金連合会の運用方針とその実績についてまとめていきます。※なお、要約や抜粋、補足は筆者によるものであり、原文については下記の関連リンク「企業年金連合会-年金資産運用状況」よりご確認ください。

基本的スタンス

  1. 市場のリターンは予測不可能である(但しアクティブ運用を否定しているわけではない)
  2. リスク・プレミアムの存在を前提とする(基本的に株式投資はそのリスクに見合ったプレミアムを期待することができ、長期的な投資は報われる)
  3. 積立水準の変動がリスクである(資産サイドにだけに着目するのではなく、年金債務も重視し、積立水準の変動をリスクと定義)
  4. リスクとリターンの源泉は株式である(ポートフォリオ全体のリスクとリターンは、株式比率によってその太宗が決まる)
  5. オルタナティブ投資アルファ源泉の多様化を目的とする(ポートフォリオ全体のリスク分散効果よりは、各資産クラスのアルファ源泉の多様化を目的とする)

運用基本方針の概略

運用目標

十分な積立水準を安定的に維持することを目標に、積立不足に陥る確率を極小化させることを目指した運用を行う。

2つのポートフォリオ

年金債務の特性から、「基本年金等ポートフォリオ」と「通算企業年金ポートフォリオ」の2つに分け、それぞれの年金債務に適合した政策アセットミックスに基づき運用を行っている。

※共同運用事業の資産については「通算企業年金ポートフォリオ」のほうに組み込まれることとなります。以下、特に断りのない限り、通算企業年金ポートフォリオに関する内容を記載しています。

投資対象

政策アセットミックスにおける資産クラスは債券とグローバル株式の2つ。プライベートエクイティ(未上場企業の株式)、ヘッジファンド、インフラ投資(社会資本への投資)、不動産投資などのオルタナティブ投資は、各ファンドの性質に応じて債券あるいは株式の代替資産と位置付けている。

政策アセットミックス

予定利率2%台の年金債務に対して、予定利率を上回る期待リターンをできるだけ低いリスクで達成できるようなポートフォリオとしており、具体的には以下のとおりとしている。

 資産クラス 配分比率(許容乖離幅) 備考 
 債券  80%(±5%)  外国債券を含むが、為替リスクは債券全体の20%までとする
 グローバル株式  20%(±5%)  日本株式と新興国株式を含む

期待リターンとリスク

共同運用事業のパンフレットによると、上記ポートフォリオの期待リターンは2.6%、リスクは5.0%

ベンチマーク

債券については「バークレイズ日本総合インデックス」、グローバル株式については「MSCI-ACWI」を採用している。 一般的に企業年金で採用されているベンチマークは以下のとおりであるが、資産クラスを2つにまとめていることもあり、これとは異なるベンチマークを採用している。

(参考)一般的な資産種類ごとのベンチマーク

 資産クラス ベンチマーク 
 国内債券  NOMURA-BPI
 国内株式  TOPIX配当込
 外国債券  CITI WGBI
 外国株式  MSCI Kokusai

 

運用実績

通算企業年金のポートフォリオを基本年金等と分離して運用を行うこととしたのは2014年度からであり、通算企業年金としての実績は2014年度からの2年間となっています。

<通算企業年金の運用実績>

時間加重収益率

 項目 2014年度  2015年度 
 全資産  6.59% ▲0.71% 
 ●債券  2.65%  1.26%
 ●グローバル株式  22.59%  ▲9.87%
 政策アセットミックス標準値に対する超過収益率  ▲0.18%  ▲3.3%
 ●マネージャー選択効果・ベンチマーク選択効果  ▲0.3%  ▲3.3%
 ●時価変動による基準値からの振れ等  0.1%  (未公表)

(補足)
2015年度の超過収益率は概算。大幅なマイナスとなった理由については、「通算企業年金の通算企業年金の運用では債券運用、債券代替運用とも絶対リターン戦略を採用しているが、ベンチマークとしているバークレイズ日本総合インデックスが日銀のマイナス金利導入で大幅な上昇となったため」としています。

資産構成割合

 資産クラス 政策アセットミックス基準値   2015年3月末の実績  2016年3月末の実績
 債券  80%  79.1%  79.1%
 グローバル株式  20%  20.9%  20.9%

(補足)
2015年3月末、2016年3月末とも、ほぼ政策アセットミックス基準値どおりの割合となっています。

運用報酬

2015年度の運用報酬は「3億円」とあり、年金資産残高に対する割合は0.1%強となっています。


次回は、第2回までの内容を踏まえて、共同運用事業に加入するメリットと留意点について解説します。


掲載日:2017年4月10日

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