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企業年金連合会の共同運用事業について~1.共同運用事業の概要

企業年金連合会では2016年10月3日より共同運用事業への加入申込の受付を開始しました。共同運用事業とは、確定給付企業年金(DB)からの委託を受け、連合会が管理運用している通算企業年金の資産と合算して運用を行う仕組みです。
今回はその概要について解説します。解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント 向井 洋平
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掲載日:2017年2月20日

解説

企業年金連合会では2016年10月3日より共同運用事業への加入申込の受付を開始しました。共同運用事業とは、確定給付企業年金(DB)からの委託を受け、連合会が管理運用している通算企業年金の資産と合算して運用を行う仕組みです。以下、その概要について紹介します。

共同運用事業導入の経緯

厚生年金保険法等の改正により、厚生年金基金は原則廃止されることとなりましたが、この法改正により、企業年金連合会が行うことのできる事業として「共同運用事業」が新たに追加されました。これは、厚生年金基金の代行返上または解散により資産規模が縮小する中で、企業年金制度を維持、継続する中小企業に対する支援策として導入されたもので、規模の小さな年金基金等の年金資産をまとめて資産規模を大きくすることにより、年金資産運用の効率性を確保しようとするものです。

当初の案では連合会の会員であるDBのみを対象とすることされていましたが、法律の趣旨に則り、連合会の会員であるか否かにかかわらず、共同運用事業への加入が可能となりました。

上記のとおり、基本的には代行返上した基金や、解散の受け皿として設立した総合型DB等の参加を想定したものと思われますが、既存の中小規模のDBにおいても活用方法によっては利用価値のあるものになると考えられます。

共同運用事業の概要

(1)運用方針・運用内容

連合会が管理運用している通算企業年金の資産と合算して、通算企業年金の運用方針に基づき運用されます。このため、事業に参加する個別のDBの要望を反映させることはできません。※通算企業年金の運用方針・運用内容については次回以降に解説します。

(2)運用リスク

運用結果は市場環境により変動し、利回りの保証・元本保証はありません。運用リスクは事業に加入した各DBが負うことになります。

(3)加入するDBの受託者責任

事業への加入にあたっては、運用受託機関へ委託する場合と同等の受託者責任を負うことになります。事業への加入により、DBが負っている受託者責任を免れることはありません。

(4)資産の分別管理

加入するDBごとに信託契約に基づく投資口を設定することにより、資産の分別管理と保全を図ることとしています。従って、連合会や事業に加入した他のDBにおいて積立不足が発生したとしても、自らが拠出した資産については保全されます。

(5)事業への加入及び脱退

事業への加入及び脱退は任意です。各DBは事業についての説明を受け、自ら策定した運用方針との適合性を確認したうえで、連合会に申し込むこととなります。また、脱退の際には資産の全額をDBに交付(返還)することとなります。事業へ加入または脱退する場合は、当該DBにおいて規約変更の手続きが必要となります。

(6)拠出可能な範囲

拠出金には上限が設けられ、掛金や給付といった定期的なキャッシュ・フローには対応できません。従って、DBの年金資産の全額を拠出することはできません。なお、事業への加入後、拠出上限額の範囲内で、追加拠出することは可能です。

(7)資産の移受管(拠出、交付)

DBからの拠出金、及びDBへの交付金の額は、当該DBの規約に定めるところにより決定されます。資産の移受管は、当該DBが契約する受託機関と、共同運用事業で設定した信託銀行内の投資口との間で直接行われます

(8)運用成果の配分

原則、拠出金の100%を共同運用事業の合同口に投資し、分配金等の配当は行わず、実現益はすべて再投資されます。

(9)費用

投資口に係る信託報酬、合同口での運用に係る必要経費、各運用ファンドの運用報酬、及び合同口での資産の売買の際に信託財産留保金が発生します。

※上記のほか、共同運用事業への加入により運用受託機関が増加したものとして、DBの総幹事会社(または副幹事会社)に対する業務委託料が増加する可能性があります。

(10)運用状況の報告・説明

月次の運用状況報告及び各DBの決算期に合わせた決算報告が行われます。また、定期的に合同説明会が開催される予定です。


次回は、共同運用事業の基本方針や、企業年金連合会におけるこれまでの運用実績について解説します。


掲載日:2017年2月20日

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