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2016年度 企業年金制度の展望

2015年度も残り約1ヶ月となりました。今年度も企業年金制度の見直しをめぐって様々な動きがあり、今後の動向が注目されるところです。

2016年度に向けて、今後の企業年金制度に関する見直し等の動向について、まとめておきます。解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント 向井 洋平
著者プロフィール
掲載日:2016年3月2日

トピック

1. DC(確定拠出年金)法の改正

2. DB(確定給付企業年金)の拠出弾力化

3. リスク分担型DBの導入

4. 厚生年金基金制度改革の進展

5. 企業年金連合会の共同運用事業の開始

解説

1.DC(確定拠出年金)法の改正

DC法の改正案については2015年4月に閣議決定され、国会に提出されたものの成立には至らず、継続審議の状態となっています。

今回の改正案の目玉は個人型DCの加入対象拡大であり、法案が成立すれば基本的に公的年金の加入者全員がDC制度を利用できるようになります。このほか、企業型DCにおける運用商品数の上限の設定や運用商品の除外に関する規定の見直し、継続投資教育の努力義務化など、DCを実施している企業にも影響を与える内容となっています。

詳しい内容については以下のコラムで解説していますので、ご参照ください。

2.DB(確定給付企業年金)の拠出弾力化

現状では、DB年金財政の積立不足がない状態では余分に掛金を積み増すことはできませんが、将来の財政悪化に備えるため、新たに「リスク対応掛金」を設け、一定の範囲内で掛金を積み増すことが可能となる見込みです。

詳しい内容については以下のコラムをご参照ください。

なお、この改正は2016年4月から実施される予定となっていますが、本稿執筆時点(2月下旬)では具体的な基準を定めた政省令等はまだ公表されていません。公表され次第、改めてその内容について本サイトよりお知らせします。

3.リスク分担型DBの導入

リスク分担型DBは「第3の企業年金」とも呼ばれ、これまでのDBとDCの仕組みを併せ持った新たな企業年金制度です。リスク分担型DBでは、企業側があらかじめ将来の財政悪化に備えたリスク対応掛金を上乗せする代わりに、運用損失等により積立不足が一定以上拡大した場合には、自動的に給付が減額される仕組みになります。

詳しい内容については以下のコラムをご参照ください。

なお、実際にリスク分担型DBを実施するにあたってカギを握るのは、企業会計上の取り扱いです。リスク分担型DBでは、基本的に企業が拠出すべき掛金(掛金率または加入者1人あたりの掛金額)は固定されるため、厚生労働省としては、企業会計上はDCとして取り扱われることを想定していますが、現在ASBJの退職給付専門委員会で議論が行われているところです。

今後、ASBJでの結論や、制度の詳細な基準を定めた政省令等が公表されましたら、改めてその内容について本サイトにてお知らせします。

4.厚生年金基金制度改革の進展

2014年4月に厚生年金基金を原則廃止とする改正法が施行され、厚生年金基金の解散や代行返上が進んでいます。法施行直前の2014年3月末に531あった厚生年金基金は、2016年1月末現在で残り320基金となっており、さらにこのうち292基金は解散または代行返上内諾済みとなっています。

こうした状況を受けて、基金に加入する各事業所も、代行返上後のDB(または新設された総合型DB)に移行したり、自社のDBやDC制度に移行したりといった対応を進めています。

厚生年金基金制度の見直しに関しては、以前「厚生年金基金とは~厚生年金基金制度の抜本的見直しについて -1-」から始まるシリーズで解説していますが、直近の状況についてまとめたコラムを近日中に公開する予定です。

5.企業年金連合会の共同運用事業の開始

厚生年金基金を原則廃止とする改正法において、企業年金連合会が行うことのできる事業として「共同運用事業」が新たに追加されたことに伴い、企業年金連合会では共同運用事業の実施に向けた準備を進めています。

共同運用事業の概要
  • 確定給付企業年金から委託を受けた運用資産について、連合会が管理運用している通算企業年金の資産と合算して運用を行う
  • 事業への加入は各企業年金の任意で、脱退も任意
  • 掛金や給付といった定期的なキャッシュフローには対応できないため、年金資産の全額について運用委託することはできない
  • 2016年10月1日より事業開始予定

今後の予定としては、2016年4月に厚生労働大臣の認可を受け、共同運用事業についての広報と、加入する企業年金の募集を開始することとなっています。

本サイトでも、共同運用事業の詳細や、加入によるメリット、加入にあたっての留意点などについて、解説していく予定です。

掲載日:2016年3月2日

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