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確定給付企業年金の弾力的な運営 -1- DBの拠出弾力化とは

9月11日に開催された社会保障審議会企業年金部会において、確定給付企業年金制度(以下、「DB制度」)の弾力的な運営について提案されました。提案内容については大筋で合意が見られ、来年の施行に向けた政省令等の整備や、各関係機関との調整が進められています。今回は、その提案内容のうち、DBの拠出弾力化について解説します。解説を見る→

IICパートナーズ Pmas編集部
掲載日:2015年12月3日

解説

DBの拠出弾力化について

(1)現行の掛金拠出の課題

現行のDB制度では、過剰な損金算入を防止する目的から、年金財政が良好な状況下では、企業が通常の掛金(標準掛金)以上に拠出できる余裕があっても、将来発生し得る積立不足に備えた積み増しを行う事が出来ません。

景気悪化等に伴って財政状況が悪化し、積立不足が発生した時に初めて、不足分を穴埋めすべく追加的な拠出(標準掛金に上乗せして補足掛金を拠出)を強いられます。(但し、現行制度でも、財政再計算までに利差損等の短期的な不足が見込まれる場合は、不足見込額を標準掛金に上乗せする事は可能です。)

このように、現行の財政運営では、積立不足が追加拠出に直接結びつく構造となっており、拠出額が積立状況に左右されるという点で、DB制度運営の安定性に影響を与えます。更に、積立不足は、景気の悪化と連動する事が多いため、企業業績が悪いときほど追加拠出が求められることになり、企業活動にも支障をきたします。加えて、財政状況が極度に悪化した場合は、給付減額に繋がるケースもあり得ます。

(2)財政悪化を想定した掛金拠出(リスク対応型掛金)

今回の提案では、景気、財政状況の変動により拠出額が変動しやすい構造を見直し、これらの変動によらず拠出を一定程度平準的なものとするために、財政状況が安定しているときでも、将来発生し得るリスクを勘案し、バッファを持たせて積み増しができるようになります。これにより、積立不足が発生しにくくなります。

バッファ部分は、将来の「財政悪化時に想定される積立不足(以下、「想定積立不足」)」以内とされ、想定積立不足の水準を考慮し、標準掛金に上乗せして「リスク対応掛金」を拠出できるようになります。これに伴い、財政均衡の考え方が変わり、以下の状態が成り立っているとき財政均衡であるといいます。

給付現価 ≦ 積立金+掛金収入現価 ≦ 給付現価+想定積立不足
(現行は給付現価 = 積立金+掛金収入現価が成り立つ状態を財政均衡といいます。)

これは、「DB制度のプランスポンサーは、メインシナリオのもとに必要とされた掛金のみを積み立てる以上に、将来の財政悪化に備えた掛金を積み立てられるようになった。ただし、それは『無制限』ということではなく、『財政悪化時に想定される積立不足』をまかなえられる範囲内」ということを意味しています。

積立金+掛金収入現価が給付現価を下回った場合は、現行制度と同様に、追加拠出が必要となります。

想定積立不足の測定は、20年程度に一度の損失にも耐えうる基準として、例えば以下のような方法によるルール化が考えられています。

想定積立不足は、DB制度ごとに測定するため、資産配分等のリスクの取り方により制度ごとに異なってきます。また、過剰な損金算入を防止する目的から、DB制度には積立上限が設定されていますが、積立上限はかなり高水準で設定されているので、超過することは現時点で想定されておりません。

また、想定積立不足が妥当な水準であるか、リスク対応掛金額が適切に設定されているか等について、定期的に年金数理人による検証が必要となります。

掲載日:2015年12月3日

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