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確定拠出年金(DC)の継続教育 -2 -確定拠出年金制度導入企業における継続教育の実態や動向

確定拠出年金は、確定給付企業年金制度と並ぶ日本の企業年金制度の柱となってきているものの、加入者(従業員)の制度や投資に関する理解が十分といえないのが実情です。
本シリーズでは、加入者の理解度を高め、確定拠出年金制度をより有効に活用していくために必須となる継続的な投資教育について解説していきます。
前回は確定拠出年金の継続教育について、法令上定められた事業主の責務や、規約に定められている実施内容について紹介しました。 では実際のところ、継続教育への取り組みはどうなっているのか、現状について解説します。解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント 向井 洋平
著者プロフィール
掲載日:2015年11月11日

解説

継続教育実施率7割は本当か?

企業年金連合会が実施・公表している確定拠出年金実態調査によると、継続教育の実施率は年々増加傾向にあり、直近(2014年度調査)ではおよそ7割が実施済み(実施中)または計画中と回答しています。

しかし、注意しなければならないのは、その集計対象です。

直近の調査では、2000件を対象に調査票を送り、そのうち737件(36.9%)から回答を得たとされています。継続教育を実施(またはその計画あり)という回答が7割あったということですが、そもそも調査に対する回答がなかった1263件については、母数に入っていません。回答しなかった企業は、回答した企業に比べて確定拠出年金に関する意識が低く、従って継続教育の実施率も低いと考えるのが自然でしょう。

実際、当社のお客様で確定拠出年金に実施している先に継続教育の実施について尋ねてみると、特に定期的な対応はしていないという回答が多く見受けられます。継続教育についてはまだまだ定着しているとは言えないというのが実態です。

一方で、毎年やり方を工夫しながら継続教育を実施している企業もあり、全く実施していない企業との格差がどんどん広がっていく恐れがあります。

継続教育は役に立っている?

では継続教育を実施している企業では、従業員の理解は確実に深まっているのでしょうか。

前出の企業年金連合会の調査によると、加入者を対象としたDC制度の理解度や資産運用状況などの調査について、

  • 実施したことがある:17.3%
  • 実施したことはない:82.7%

という結果になっており、ほとんどの企業で加入者からの情報収集を行っていないことがわかります。

つまり、継続教育はやっているけれど、それが従業員の理解につながっているかどうかは直接調べてはいないしよくわからないというのが多くの企業の実態ではないでしょうか。

一方、運営管理機関からの情報収集については逆に8割以上の企業が行っており、加入者の資産配分状況やWebサイトの利用状況などについて情報提供を受けているという結果になっています。運営管理機関から得られる情報は有用であり、活用すべき情報ではありますが、従業員の理解度を測るという意味では間接的、補完的なものと捉えるべきでしょう。

企業年金連合会が発行している継続教育実践ハンドブックでは、アンケート結果をもとに毎年の投資教育の内容を見直したり、あるいは加入者自身の運用状況についての設問を入れることで基礎的教育を兼ねたアンケートを実施するなど、加入者からの情報収集を有効に活用している事例が紹介されています。

せっかくコストをかけて継続教育を実施するわけですから、単に法律に規定されているからやるということではなく、実際に加入者の役に立ち、評価されるような取り組みにしていきたいですね。

次回は実際に継続教育を実施することとなった場合の手順について解説します。


掲載日:2015年11月11日

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