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被用者年金一元化について

2015年10月1日に「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」(以下、被用者年金一元化法)が施行されました。以前からニュース等で報道されていましたが、具体的な内容をしっかりと理解されている方は意外と少ないのではないでしょうか。(恥ずかしながら、かくいう私もコラムの執筆にあたり改めて情報収集した次第です…)
というわけで、今回のコラムでは被用者年金一元化法のエッセンスをおさらいしたいと思います。解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント
掲載日:2015年10月6日

解説

A.被用者年金一元化法の概要

この法律のポイントは以下の2つです。

  1. 共済年金の2階部分と厚生年金を統一
  2. 公的年金とされていた3階部分(職域加算部分)を、公的年金から分離

文章だけでは分かりづらいかもしれませんので、被用者年金一元化法の施行による日本の年金制度の変化を図で示します。以下をご覧ください。

赤枠の中がいわゆる「公的年金」と呼ばれるものです。

さて、図を見てみると先に記載したことが分かるかと思います。すなわち、共済年金の一部が厚生年金保険に変わり((1)共済年金の2階部分と厚生年金を統一)、職域加算部分が公的年金を表す赤枠内から外れています((2)公的年金とされていた3階部分(職域加算部分)を、公的年金から分離)。

このセクションでは図を用いて法改正の全体像をつかみました。それでは、次以降のセクションで法改正の具体的な内容について、2階部分、3階部分、積立金という3つの観点から触れていきます。

B.2階部分の取扱

制度の差異

実は共済年金の2階部分と厚生年金とでは、細かな制度の差異が存在します。これらの差異に関しては、厚生年金に揃えることで解消されます。

保険料率の差異

制度に加えて、保険料率にも差異があります。これに関しては、現行の共済年金の保険料率(公務員と私学で異なり、かつ職域部分を含むもの)を法改正後の1、2階部分の保険料率とし、さらに厚生年金と同様に18.3%まで段階的に引上げることで、最終的に厚生年金に揃えられます。

C.3階部分の取扱

A.で記載した通り公的年金としての3階部分は廃止されますが、この部分に該当する給付が“将来に渡ってなくなる“という意味ではありません。今後は公的年金ではなく、各共済が独自に実施する退職給付制度として残ることになります。

独自に実施する退職給付制度については各共済のホームページに情報が出ておりますので、興味のある方はご覧いただければと思います。

D.積立金の仕分け

B.の「保険料率の差異」で記載したように、法改正前の共済年金の保険料率は1、2階部分と3階部分の合計として設定されています。そのため共済年金の積立金についても、1、2階部分と3階部分の区分がない状態で管理されています。

しかし、3階部分を公的年金から分離するためには、積立金を1、2階部分に相当する額と3階部分に相当する額に仕分ける必要があります。この仕分けにあたっては、厚生年金本体の積立金と支出に基づき、不公平感のない形で仕分けられることになります。

最後になりますが、そもそも被用者年金一元化法は平成24年2月に決定された「社会保障・税一体改革大綱」に基づき施行されるもので、被用者年金の公平性と安定性の確保が目的となっています。特に安定性については、厚生年金の規模が拡大することによって増加するという一方で、運用リスクにさらされる積立金の額も増加してしまうという側面があります。

そのため、施行後の財政状況や運用体制について興味を持って注視する必要があるでしょう。

掲載日:2015年10月6日

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