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確定給付企業年金(DB)における掛金拠出の弾力化について

平成27年1月16日に公表された『社会保障審議会企業年金部会における議論の整理』及び平成27年6月30日に閣議決定された『「日本再興戦略」改訂2015』において、確定給付企業年金(DB)における掛金拠出の弾力化が盛り込まれました。
また、7月に入ってから信託協会、生命保険協会及び企業年金連合会から平成28年度の税制改正要望、日本年金数理人会から提言がそれぞれ公表されています。
本コラムでは、これらの状況を踏まえ、DBにおいてどのような掛金拠出の弾力化が検討、要望・提言されているのかについて解説します。解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント
掲載日:2015年9月8日

解説

1.景気変動等のリスクに備えるための事前積立に係る掛金拠出

(1)現行の仕組み・背景

現在のDBにおける掛金は、標準掛金をベースとし、積立不足があれば補足掛金(特別掛金、特例掛金)で対応するという仕組みになっています。積立不足がない状況では、事前積立を目的とした掛金拠出は認められていません。

このため、大きな運用損失が発生した場合には、補足掛金で事後的に対応しなければなりません。結果として景気が悪化し、企業業績が悪いときに追加拠出が求められることとなり、企業経営に影響が生じることとなっています。
※実際には、追加拠出ができずに給付減額が行われるケースもあります。

(2)検討内容

厚生労働省では、あらかじめDBの財政悪化を想定し、負債を超える掛金の拠出を可能とすることを検討しています。これにより、景気が悪化した際の企業経営に与える影響を抑制し、安定的な財政運営を行うことが可能となります。

企業業績が良いときに多くの掛金を拠出することにより、企業にとっては損金算入額を拡大できるメリットもあります。今後は、「財政悪化を想定した必要額(事前積立額の上限)」「掛金拠出の設定方法・金額」等について税務当局と調整が行われるものと思われます。なお、日本再興戦略では、本年中(2015年)に結論を得ることとなっています。

※信託協会、企業年金連合会及び日本年金数理人会の要望・提言にも同内容が盛り込まれています。事前積立額の上限として、企業年金連合会は「積立上限額の範囲内で一定の水準まで」を要望しています。また日本年金数理人会は、それぞれの企業年金制度の予定利率に応じて上限を定める方法(予定利率1.5%の場合は積立金の13%、予定利率3.0%の場合は積立金の38%)等が例として示されています。

2.過去勤務債務を償却するための柔軟な掛金拠出

(1)現行の仕組み・背景

過去勤務債務を償却するための掛金(特別掛金)は、以下のいずれかの方法で計算しなければならないとされています。

いずれの方法を選択するにしても、特別掛金は一定期間で拠出することとされ、一括拠出は認められていません。このため、積立不足が発生した場合には、健全性の確保に一定の時間が必要になるといった課題があります。

(2)要望・提言内容

企業年金部会における議論の整理及び日本再興戦略の公表を受けて、信託協会、生命保険協会、企業年金連合会及び日本年金数理人会からは、以下のような要望・提言が出されています。

3.積立不足を償却するための柔軟な掛金拠出に関するその他の要望・提言

信託協会、生命保険協会、企業年金連合会及び日本年金数理人会からは、積立不足を償却するための柔軟な掛金拠出として、上記2.以外に以下のような要望・提言が出されています(一部をご紹介します)。

掲載日:2015年9月8日

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