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企業年金部会における議論の整理―2015年1月のトピック

1月16日に開催された第15回企業年金部会では、これまでの議論についての整理が行われました。その中で具体的な見直し内容について提示されているものを中心に概要を紹介していきます。解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント 向井 洋平
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掲載日:2015年2月24日

解説

第15回企業年金部会の開催(企業年金部会における議論の整理)

昨年6月(第4回企業年金部会)から行ってきた今後の企業年金制度に関する議論が一巡したことから、1月16日に開催された第15回企業年金部会では、これまでの議論についての整理が行われました。

 1月20日に改めて公表された資料では、企業年金制度等の普及・拡大に向けた見直しの方向性について概ね意見が一致し、見直しを行うものと、引き続き議論が必要であり今後の検討課題とするものに整理されています。

社会保障審議会企業年金部会における議論の整理(厚生労働省Webサイト) 

以下、その中で具体的な見直し内容について提示されているものを中心に概要を紹介していきます。

中小企業向けの取組

確定給付企業年金制度(以下、DB)関係
  • 受託保証型DB(積立不足が発生しない仕組のDB)の普及・拡大のための手続き緩和
確定拠出年金制度(以下、DC)関係
  • 企業年金連合会や商工会議所による投資教育の共同実施
  • 手続等を簡素化した簡易型DCの創設
  • 個人型DCへの事業主掛金の追加拠出★

ライフコース多様化への対応

DC関係
  • 個人型DCの加入対象拡大★
ポータビリティ関係
  • DCからDBへの資産移換、中退共とDBまたはDCとの間での資産移換の道を開く★

DC制度の運用改善

投資教育関係
  • 制度導入後の継続教育を事業主の努力義務とし、実施の基準を通知において明確化
  • 資産額通知について内容の理解を深めるための教育を実施することを明確化   
運用商品関係
  • 実効性のある商品除外規定の整備
  • リスク・リターン特性の異なる商品の提供を法律上明確化
  • デフォルト商品について、分散投資効果が見込まれる商品の設定を努力義務とする

企業年金(DB)のガバナンス

  • 資産運用委員会の設置の促進
  • 資産運用委員会に専門家を含めることや議事概要の代議員会への報告について明確化
  • DBの資産運用ルールについて、厚生年金基金の資産運用ルールを参考に見直し
  • 加入者に対する運用の基本方針の全文開示や資産運用利回りの年1回以上の開示

その他

  • DC拠出限度額の年単位化★
  • DCの各種手続き簡素化
  • DBの拠出弾力化

上記に挙げられた項目のうち、★のついたものについては2014年12月のトピック(関連記事参照)で紹介した通り2015年度の税制改正大綱に反映されており、早ければ2016年度より実施されることになりそうです。

なお、第9回企業年金部会で事務局(厚生労働省)から提案のあった、DBをより「年金」に近づけるという趣旨の内容(中途引き出しの制限など)については多くの反対意見があったこともあり、引き続き議論が必要な検討課題の1つとして整理されています。厚生労働省としては企業年金に関して、縮小していく公的年金の補完という位置づけを強めていきたいという狙いがあるのかもしれません。

ただ現実的には企業年金は退職金の外部積立手段として利用されており、それ以上の目的を持たせるために制約を課してしまえばかえって企業年金の制度の普及を妨げることになるでしょう。企業の退職金自体も縮小傾向にある現状を考えれば、企業か個人かを問わず、退職後の資金の積立手段として利用しやすい制度や環境を整備していくことが、結局は老後の所得確保の充実につながっていくのではないかと思います。

掲載日:2015年2月24日

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