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企業年金ガバナンスと平成27年度与党税制改正大綱について―2014年12月のトピック -2-

 2014年12月のトピックとして、
  1. 厚生年金基金解散後の資産を他制度に移す場合の取り扱い
  2. 第13回・第14回企業年金部会の開催(企業年金のガバナンスについて、等)   
  3. 平成27年度与党税制改正大綱(DCを中心とした企業年金税制の見直し)

について解説します。このコラムでは、2.3.について取り上げます。解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント 向井 洋平
著者プロフィール
掲載日:2015年1月27日

解説

第13回・第14回企業年金部会の開催(企業年金のガバナンスについて、等)

12月15日と26日に第13回・14回企業年金部会が開催され、企業年金のガバナンスや現行制度(DB及びDC)の改善などをテーマとして議論が行われました。

企業年金のガバナンス(DBの制度運営に関する事項)については、厚生労働省側からは以下のような見直し案が提示されました。

  • 資産運用委員会の設置を促進する。
  • 資産運用委員会の委員や基金型DBの理事に専門家を入れることを促進する。
  • 基金型DBについて、一般社団法人等の他の法人と同様に外部の専門家による会計監査を促進する。
  • 2012年に厚生年金基金に対して行われた資産運用ルールの見直しについて、DBに対しても同様の対応をとる(政策的資産構成割合の策定義務付けなど)。
  • 加入者に対して、運用の基本方針の全文や毎年度の資産運用利回りを開示する。
  • 今後、資産運用の実績に応じて給付が変動するような柔軟な給付設計を行う場合は、よりリスクを負担することとなる加入者が関与できるような仕組み(例えば労使委員会を設けて資産運用状況をチェックする)を検討するとともに、資産運用に関するより詳細な情報を加入者の代表が確認できるようにするなどの対応をとる。

資産運用面を中心に、ガバナンスを強化するための対策が盛り込まれたものとなっています。

これらに関しては、企業年金部会の委員からの意見にもあるように、単一の企業(あるいは企業グループ)により実施されているDB(単独型、連合型と呼ばれる)と、資本関係のない多数の企業が参加して共同で実施されているDB(総合型と呼ばれる)で、対応を分けて考える必要があるのではないかと思います。

単独型のDBであれば、資産運用をはじめとした制度運営に関する責任と権限は基本的に単一の母体企業に属することになるので、母体企業による統制が利きやすい状況にあるといえます。

一方で総合型DBの場合は個々の企業の責任と権限は限られたものになるため、制度運営に対する関心自体が薄れがちになり、企業サイドからの統制が利きにくい状況にあります。

従って、総合型の場合には情報開示や外部監査を強化・促進することにより、統制が利きやすい環境を整えていくことの重要性が高いといえるでしょう。

もう1つ指摘しておくべき点としては、特に企業年金運営の事務局を持たない規約型DBにおいて、現在の資産運用ルールや加入者への情報開示が有効に機能しているのか、という点です。

適格年金から移行した規模のさほど大きくないDBにおいては、企業年金の運営を専任で行う部署や担当者は存在しないケースがほとんどであり、資産運用に関する意思決定のプロセスや責任の所在さえはっきりしていない企業も珍しくありません。

こうした企業に対してガバナンスの実効性を高めていくためには、資産運用委員会の設置といった組織体制づくりだけでなく、企業年金の運営に携わる者への教育であったり、組織として一定の判断能力を有していない企業に対して提示できる運用商品の範囲や提示方法に一部制約を設けたりといったことを考えていく必要があるのではないかと思います。

平成27年度与党税制改正大綱(DCを中心とした企業年金税制の見直し)

12月30日、平成27年度与党税制改正大綱が公表されました。 企業年金関係では、関連する法律の改正が行われることを前提として、以下の措置を講ずるとされています。

(1)個人型DCの加入対象拡大

これまで個人型DCに加入できなかった企業型DCの加入者やDBの加入者、公務員、第3号被保険者(専業主婦等)も加入対象に加える。

厚生年金被保険者(会社員)に関して、企業年金の有無と個人型DCの拠出限度額の関係をまとめると下記のとおりとなります。

 

(2)ポータビリティの拡充

DCからDBへの年金資産の移換、合併等に伴うDC及びDBと中小企業退職金共済(中退共)との間の資産の移換を可能とする。

また、特定退職金共済から中退共への掛金等の移換、(中小企業でなくなったことによる)中退共の解約に伴う中退共からDCへの資産移換を可能とする。

(3)小規模事業主掛金納付制度の創設

個人型DCを実施している小規模企業(企業年金なし)について、個人型DCの拠出限度額の範囲内で事業主が掛金を上乗せすることを可能とする。

これらは、企業年金部会において厚生労働省から提案された内容に沿ったものとなっています。(関連記事「DC制度及びDB制度の見直しの最新動向」もご参照ください。)

年明けに厚生労働省から公表された「平成27年度厚生労働省関係税制改正について」においても同様の内容が盛り込まれており、関連法案の国会への提出を検討するとされています。

掲載日:2015年1月27日

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