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確定拠出年金(DC)制度・確定給付企業年金(DB)制度見直しの最新動向―2015年1月

2014年の9月以降、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会企業年金部会において確定拠出年金(DC)制度及び確定給付企業年金(DB)制度の見直しについて議論され、11月中旬までに既に4回ほど開催されています。その中で色々な提案がなされていますのでその概要をお知らせします。解説を見る→

IICパートナーズ コンサルタント 瀧 厚史
著者プロフィール
掲載日:2015年1月7日

解説

個人型確定拠出年金(DC)制度に関する検討項目

適用範囲の拡大

現在の適用範囲は、

  1. 自営業者
  2. 企業年金(企業型DC、DB、厚生年金基金)に加入していない厚生年金の被保険者

ですが、適用範囲を拡大し

  1. 企業年金に加入している厚生年金の被保険者
  2. 公務員等の共済年金加入者
  3. 専業主婦

を対象とし、国民年金(基礎年金)の対象者全員とすることが提案されています。

なお個人型DCの適用範囲が拡大されれば、企業型DCのマッチング拠出(事業主掛金に上乗せし従業員が拠出する仕組み)と機能が重複するため、企業型DCのマッチング拠出のあり方(廃止すべきか)が検討課題とされています。

事業主掛金納付制度の創設

管理コストや事務コストの負担から企業年金の実施が困難な小規模事業主のため、個人型DCに加入している従業員に対して、事業主が上乗せして掛金を負担する制度の創設が提案されています。

具体的な内容としては、

  • 小規模事業主に企業年金を普及させる趣旨から、従業員数100人以下の事業主を対象とすること
  • 拠出限度は、従業員と事業主の合計で個人型DCの限度額までとすること

とされています。

拠出限度額の見直し

現在の個人型DCの拠出限度額は、

  1. 自営業者:6.8万円
  2. 企業年金(企業型DC、DB、厚生年金基金)に加入していない厚生年金の被保険者:2.3万円

になっていますが、前述の適用範囲拡大と同時に

  • 全加入者共通に2万円(企業型DCの掛金水準を考慮した水準)の限度枠を設定すること
  • 老後の所得補償が不十分と思われる現在の適用範囲の者(上記1.2.)は、2万円の追加枠を付与し4万円とすること

が提案されています。

また控除枠を有効に使えるよう拠出限度額の考え方を月額単位から年単位に変更することも提案されています(年単位にすることで賞与月は多めに拠出する等の柔軟な対応が可能になります)。

※企業型DCの拠出限度額も同様に年単位化することが提案されています。

確定給付企業年金(DB)制度の掛金拠出方法の弾力化

現在、年金財政上の積立不足について、将来に備え事前積立することや過去に発生した未償却分を一括拠出することが出来ません。企業業績が好調な時等にこうした対応が可能であれば年金財政の健全化に資すると思われます。

こうした点を踏まえ、企業の恣意的な掛金拠出とならない範囲で柔軟な掛金拠出を可能とすることが提案されています。

ポータビリティの拡充

現在、DB制度からDC制度(個人型及び企業型)への資産移換は可能ですが、DC制度からDB制度への資産移換は不可能です。またDB制度及びDC制度と中小企業退職金共済制度間の資産移換も基本的には不可能です。

転職に際して退職金の不利益を被ることがないように、これらの資産移換不可能なケースについても可能とすることが提案されています。

 


以上の内容は一定の方向性が示されたので、今後実施に向けて次のステップに進むものと思われます。

 

確定給付企業年金(DB)制度と確定拠出年金(DC)制度のイコールフィッティング

拠出限度額

現在、拠出限度額は、DB制度にはなくDC制度にのみ存在します。これに対してDB制度とDC制度の掛金の合計額に対して拠出限度額を適用していくことが提案されています。

但し、DB制度に新たに拠出限度額を設けることは、DB制度の普及の妨げになるとの意見もあり引き続き議論していくことになりそうです。

年金支給開始年齢

現在、DC制度60歳以上、DB制度は規約に規定すれば50歳以上の退職時から、となっています。老後の所得保証という観点から、公的年金と同様、65歳を基本としつつも、企業年金の公的年金の支給開始までの「つなぎ年金」としての役割も考慮し、60歳以上とすることが提案されています。

またDC制度の加入期間による制限(60歳到達時の加入期間が10年に満たない場合に支給開始年齢を遅らせる取扱い)は廃止することが提案されています。

中途引き出し

現在、DB制度のみ可能となっており、両制度の最大の相違点と言えます。老後の所得保証という観点から、両制度ともに原則不可とすることが提案されています。但し、中途引き出しのニーズも強いことから、一定水準の減額をした上で例外的に中途引き出しを認めることも同時に提案されています。

なお、DB制度は退職金制度からの移行が中心であり中途引き出しが非常に多く利用されている現状を踏まえ、加入者の生活設計等への影響に配慮し、慎重に経過措置等を検討していくようです。

支給方法

現在もDB制度、DC制度ともに原則年金支給であるが、労使合意のもと一時金の選択肢を認めており、実際には一時金を選択するケースが非常に多くなっています。そこでもっと年金支給を選択する者が増えるような仕組みを導入することが提案されています。

その一例として、DB制度では「年金より一時金の方が有利になるような設計」や「一定割合以上を年金で支給する設計」を導入することが提案されています。


DB制度とDC制度のイコールフィッティングに関する内容は、検討課題も多く今後、継続的に議論していくことになっています。

企業年金部会は今後も定期的に開催されていきますので、その動向は注視していく必要がありそうです。今後も動きがあれば当コラムでその内容についてご紹介していく予定です。

掲載日:2015年1月7日

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